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2016年5月3日(火)

福岡民報2016年5月

福岡県の教育

県議会議員 高瀬菜穂子

昨年からの論戦をまとめたパンフレット『福岡の先生が足りない』に関心を寄せていただいています。昨年春に2議席を回復し、すぐに各地の教育関係者から「先生が足りない」「講師を探しているけど、みつからない」という声をいただきました。さらに、現役大学生にまで臨時免許を出しているということが、マスコミで報道され大問題となりました。昨年7月の予算特別委員会、12月議会一般質問でこうした問題を取り上げ、パンフレットにまとめました。このパンフは、県内すべての小中特別支援学校に送り、合わせてアンケートもお願いしています。

慢性的な教師不足
現役大学生にも「臨時免許」

深刻なのは、慢性的な教員不足です。現役大学生を含む臨時免許の交付は、昨年度、小学校135人、中学校151人、特別支援学校56人、合計342人にも及びます。「臨時免許」というのは、小学校の先生に中学校で授業させたり、専門外の教科を担当させたりする際に、校長と教育委員会の判断で交付するものです。この数字は、元教師の私でも驚くほどで、一部地域ではなく、県内全域で交付されていることが特徴です。

さらに、これだけの「臨時免許」を交付してもなお、必要な教員が配置されておらず、先生が来ないまま、4月のスタートを迎えた学校は、昨年度、小中特別支援学校で77校、中学校の教科欠は21校に上ります。5月1日時点でも配置できなかった学校が40校、中学校教科欠は11校残されました。必要な教師が配置されない学校現場では義務教育学校の教師は、クラス数に応じて配置されることが法律で定められています。ところが、その定数が配置されないまま、学校運営を行っているため、驚くべき事態が起こっています。教科欠の中学校で、当該教科の定期考査ができない。仕事量が多く、病気になる教師が増える。非正規の講師が担任をしているが、講師が病気になった場合には代替教師が配置されない。9月に講師の担任が倒れ、12月になっても担任がいないまま。担任が病気休暇をとったので、教務が代わりをしていたが、教務が過労で倒れた。医師からは6か月休むように言われたが、代替講師が見つからないので、迷惑をかけられないと無理して復帰した。などなど枚挙にいとまがないのです。

苛酷な教育現場で働き続けられないと早期退職者も激増しています。2010年382人、2011年331人、2012年445人、2013年435人、2014年315人、5年間で2000人近くが早期に退職しています。免許も経験もある教員の早期退職は、教員不足に拍車をかけています。

子どもと教員に与える影響

福岡県の正規教員は、1人当たりの週担当時聞が小学校で特別に多く、全国1位です。1学級あたりの児童数、生徒数も全国ワースト7位です。そのうえ、必要な教師が配置されていないのですから、子どもたちに向き合う時間は当然少なくなくなります。教育の基本である子どもたちとのかかわりが十分にできなくなれば、教育の達成感や充実感も奪われるのではないでしょうか。

こうした土壌は、病休者を生み、病休者のカバーをすることで、次の病休者を生むことにつながる悪循環です。もともと講師不足の学校現場では、代替講師が見つからないこともあります。これでは、子どもたちに最低限の授業の保障さえ、されていないということです。福岡の教育は、まさに崩壊の危機にあると私は考えます。

特別な支援を必要とすることどもたちの激増

今、学校では特別支援教育のニーズが高まっています。特別支援学級数は、この10年間で倍増し、小学校ではクラス数で2倍、児童数で2.6倍、中学校では、クラス数で1.9倍、生徒数で2・3倍です。さまざまな支援を必要とする子どもたちが増える中、そのための専門教師の配置と教員数の確保がいよいよ重要な課題です。ところが、教師が全く足りない状態で、経験のない講師が特別支援学級の担任になったり、特別支援学校の非正規率が50%近くであったりと、不十分な状態が続いています。学習権の保障、専門性の確保という観点からも重大な問題です。

なぜ、このような事態に? 
非正規率ワースト2位、定数ギリギリの福岡県

いったい、なぜこのような教員不足が起こっているのでしょうか。その大きな原因は、正規教員を採用せず、非正規雇用に頼ってきたということができます。
文科省が出したランキングで、福岡県の非正規率は、12.7%、全国ワースト2位となっています。1位は沖縄の14.4%ですが、人口500万人以上の大きな県では福岡がダントツの1位です。小学校の教員16,221人のうち、非正規は2932人、中学校の教員9213人のうち、非正規は2,102人にものぼっています。当初から不安定な身分の講師が5,000人も必要なわけです。

さらに問題なのは、5,000人を超える非正規教員を入れても、定数ギリギリしか配置されていないということです。例えば、東京では、退職教員が望めば、最後の勤務校や自宅近くの学校で働いてもらう独自の制度があります。法律で定められた定数よりも多く教師が配置されているのです。病気休暇をとっても年休をとっても、安心して代わりの先生が授業をしてくれる体制があります。ところが、福岡県では、非正規を入れても定数ギリギリですから、全く余裕がありません。福岡が定数ギリギリの100とした場合、東京は106.7、全国平均が101.5、福岡県は、この指標で全国42位です。

喫緊の課題としての病休代替制度の改善

問題だらけの福岡の教員配置ですが、特に深刻なのが、病休代替制度が全国に比べて大変遅れていることです。病休者が出た場合に、全国的には、常勤講師を配置するのが当たり前です。ところが、福岡県では、非常勤講師しか配置せず、その時間数が極めて不十分です。小学校の場合、担任の先生が休めば、30時間分の講師が配置されます。しかし、30時間では3時頃には帰るため、担任はできません。教務など他の教師が担任を兼務し、30時問講師は授業やさまざまな仕事の手伝いということになります。中途半端で結局周りの負担は大きくなります。

中学校はさらに深刻で、例えば担任で20時間の教科を持っているとすると、担任として受け持っている道徳などの時間数は考慮されず、教科の時間数の一部分しか講師が配置されません。国語の授業をークラス4時間で5クラス受け持っていても、12時間分しか講師は配置されないとなると、あとの8時間は学校内部で担当しなければならないシステムです。これは、どう考えても不合理で不可能です。もともと手一杯担当しているのに、他の学年から時間割をぬって授業に行かなければならないため、どうしても自習が多くなるわけです。子どもたちに対しても教師に対しても全く無責任な制度です。

現場の苦しみをさらに深刻にしている病休代替制度を改善したいと、全国調査を行いました。その結果、病休代替が非常勤対応になっているのは、小学校では、東京、神奈川、福岡、中学校では、東京、神奈川、千葉、福岡であることがわかりました。東京は前述したように、定数以上の独自配置を行っています。神奈川県はどうかというと、小学校の対応は福岡と同じ30時間、中学校は時間数に応じて、となっており、担任の場合は30時間配置とのことです。比較すれば、福岡よりも神奈川の方が手厚いということになり、福岡の代替制度は「全国最悪」であると断じざるをえません。

この事実を、12月議会で取り上げ、他県のやり方を検討するとともに、知事には予算措置を行うよう強く求めていました。新年度、中学校の病休代替制度が改善されました。これまで教科時間の一部しか配置しなかった非常勤講師を授業時数100%カバーするようになったのです。わたくしが現職のころから実に30年以上にわたってかわらなかった制度を一歩ですが、前進させることができました。北九州市のある校長から「校長会で歓声が上がりましたよ。議会で取り上げてくれたんですね。大宣伝してください。」といわれました。現場職員に喜ばれ、教育条件の改善につながったことは、この上ない喜びです。

正規教員を増やし、少人数学級で行き届いた教育を

正規教員を増やし、少人数学級を実現することは、特に遅れた福岡県の教育をよくしていく鍵だと考えます。児童・生徒一人当たりの教育予算は、小学校で全国ワースト6位、中学校で全国ワースト9位です。ダムなど無駄な開発に税金をつぎ込むのでなく、子どもたちの教育のためにこそ、まず大切な税金が使われるよう、これからも頑張ります。教育に「臨時」はありません。

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