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2017年7月1日(土)

福岡民報2017年7月号

「子どもをロボットのように画一化するもの」
「銃剣道など許されない」開催された教育分野の「つどい」での多彩な声を紹介します

県委員会 職場援助委員会 木下 紀男

全国で教員不足が続き、教員の「過労死ライン」を超える長時間労働が報道されています。他方で、2020年から新しい学習指導要領が実施されます。ひずみと矛盾を大きくかかえてすすむ公教育分野の現状を考え、福岡県の教育と子どものためにどうがんばるか、5月から6月に開かれた教育分野での三つの「つどい」で出された参加者とここでの教員の声を紹介します。どれも切実なもので、「こんなつどいを無数に開きたい」「開いて下さい」との積極的な声がたくさん出されました。


(1)大牟田地区「教育と子育てを考えるつどい」

(同地区女性部員 崎山恵子)

5月22日に高瀬菜穂子県議を迎えての「つどい」が開催され、45名の方々の参加をいただきました。月曜の夜ということもあり、なかなか現役の先生方の参加が難しかったのですが、唯一参加してくれた現職の中学校の先生は、とにかく忙しい学校の状況とともに、なぜ忙しいのか、感じていることなど、一気に話してくださいました。最近まで現役をされていたOBの先生からも体験が語られ、非常に充実した活発な討論が行われました。

高瀬県議の基調講演(要約)

公立小・中教員、非正規率(%)安倍政権は、「戦争できる国づくり」とともに、教育の力を借りた「戦争できる人づくり」をすすめている。①憲法の「主権在民」と相いれない「教育勅語」を持ち出し、教育に用いてよいと閣議決定した。②第一次安倍政権で教育基本法を改悪し、「愛国心」を盛り込んだ。また、子育ての責任を家庭に押し付けるような「親学」を推奨している。③新学習指導要綱はこれまでと様相をかえている。「道徳の教科化」「武道に柔剣道を追加」「英語の教科化(小学校)」。

福岡県の教育はどうなっているのか。「先生が足りない!」少子化を見込み、福岡県は正規教員を長い間増やさないできた。病欠の先生をカバーして新たな病欠を出すような悪循環。福岡の小中教員の非正規率は全国ワースト2位(2016年は3位に浮上)。要望が実りようやく去年から病欠者の補充を改善させた。教育条件の整備にもっとお金を使うべき、そして根本の教育行政を良くしないといけない。市民、教員、教育関係者の連携し、福岡県と大牟田の教育をよくするためにがんばしょう。

出された声

中学校教師、現職

先生たちはとても忙しい。先生同士で会議もできないほど。給食を食べながら宿題をチェックしている。発達障害の子が増えていて人間関係でのトラブルも多く、対応に追われる。問題が起きた時に対応できるような体制を保障してほしい。40人学級を30人にしてほしい。新任教師は研修が多く、その新任の指導担当になった教員がカバーするが、全く手が回らない。LINEが原因の子ども同士のトラブルを学校に解決してもらおうと親が言ってくるのにも対応しないといけない。
代替教員は時間給2,000円、週12時間分だけだと1ヶ月の給与は低く暮らせない。
代替の先生を見つけるのが校長・教頭の仕事みたいになっている。常勤の正規採用にして生活できる給料にしないといけない。
自分の学校は1学年2クラス、全校で6クラスだと理科、社会の先生は1人ずつしかおらず、3学年の授業をしないといけないので空き時間もなく大変。学力テストでは「秋田超え」などと目標を掲げるが、何の意味があるのか疑問。

元中学校教師、3月退職

先生はだいたい皆、真面目。自分が新任の時は他の先生たちと政治の話もしていたが、今はあまりにも忙しく、いろいろなことを考える暇を与えてもらえていない。校長などから評価されるだけでなく、親からの評価も気にしないといけないので親と共同して子どもを育てていくという立ち位置にならない。分断されている。教師の労働環境改善は子どもの教育状況改善につながる。共産党のいう「教育予算を増やし・・」という政策はいいなと思う。

元小学校教師

東京で30年教師をした。不寛容な社会になってきたと感じる。自分も「させられる教育」をしてきた。これが一番辛かった。上の人たちは注意することや通達することを指導だと思っている。「いじめはだめ」では指導ではない。新任教師に指導する時、(自分と同じようにしなさいとは言わず)新任にはこうさせるというように先生たちもマニュアル化されている。見せるための授業が多い。教師が追いつめられている。
以前、新婦人の保護者が「日の丸・君が代はやめてくれ」と言いにきてくれたことが一校だけあった。教師を信じて学校に来てほしい。教師の仕事の中味を知ってほしい。IT化が進んだことでの負担が大きく、事務を速く的確にさばける人が良い評価になっている。子どもにどう関わるかということでなく、本来の仕事でない事務的な仕事が多くなっている。

定年後も務める小学校教師

今の若い先生たちは不自由。年間140時間も研修を受けるようになっている。40代のある男性教師がずっと「苦しい」と言っていたが、そのストレスからか万引きをして退職になってしまった。先生たちは息苦しい。無用な学力テストはやめること。私が若いころは子どもと遊ぶ時間があった。先生がもっとのびのびできる体制に変えないといけない。先生の数だけ増やしてもなかなか変わらない。

中学校教師

先生が一人増えるだけで違う。先生の数を増やしてほしい。もちろん、正規の教員を。忙しいと子どもの心への配慮ができなくなる。スキンシップも減る。会社のように生産ラインに子どもを乗せているような状況になっている。子どもに接する時間を長くするのが大事。

元中学校教師、三月退職

教育条件の整備は大事だが、それだけではだめだと思う。25人学級を持ったことがあるが、それでもそのクラスは苦労した。教育は効率や成果では表せないのに、それを計ろうとする。教員がのびのびできる教育にしないとだめだと思う。

小・中学生の父親

中学校は子どもたちが問題を起こすのを未然に防ぎたいと考えているのか、「いじめをしてはいけない」と強く言う。正論だが、「子どもにどう育ってほしい」とかを出し合うこともなく、上から押しつけている。PTAも役割をこなすだけという感じで親同士が繋がれない。

宿題の量が多い。クラス替えがこれまでは二年おきだったのに毎年替わるようになると聞いた。学級崩壊のクラスもあると聞くが、親の目からは素直な子が多いように思うが・・・学級崩壊になる原因は何か?

「見せる・見栄えをよくする」「いじめはダメというだけ」「指導方法がマニュアル化」など、教育の劣化ではないか?一方で、学力テスト、体力テスト、そして「道徳の教科化」。

教員はみな子どもが大好きです。「子どもが嫌いなら教員になりません。」といわれました。その先生方が子どもを苦しめている?この先生方の苦しみは放置できない。どうしたらよいか?今後も継続した取り組みを考えていきたい。

不登校の親の会代表

大牟田市内に150人くらい不登校の子(30日連続で不登校の子)がいる。親の会では先生方への不満が多く出る。政治が原因で先生が大変になり、そのしわ寄せが子どもにいっているのはわかる。親が待つことや変わることが大事だが、政治を変えて先生も変わっていかないといけないと思う。親と先生が腹を割って話せる関係が大切かと思う。

子ども劇場事務局

人の痛みを感じることや、人と人の生身のつながりの文化が大切と思う。生活文化を取り戻さないといけない。子どもの心が動いた時に子どもがどう反応し、行動するか。いじめも心が動かないとなくならないと思う。

高瀬さん

中学校の先生の6割が過労死ラインを超えた働き方をしている。民主党政権時、小1、小2の35人学級を予算化したが、安倍政権はその後を進めていない。先進国で40人学級は殆どない。2020年に向けて改憲を目指す安倍首相は「高校の無償化」を改憲の理由に挙げているが、怒り心頭!国力がついたら高校も無償化するつもりだった。高校受験競争をなくそうという声もあったが、財界、政府がそれをさせなかった。国際人権規約や高等学校無償化の制度決議の際、留保したのはルワンダ、マダガスカル、日本の3カ国だけだった。それなのに今になって「無償化」を持ち出してきて憲法改正とはとんでもない。

多忙化、競争化が学校現場を狂わせている。デンマークでは「テストをしてはいけない」となっている。子どもは荒れたり、友達とのトラブルがあったりしながら育っていくもの。自分が中学校の教師だった時、クラスに自閉的傾向の子がいた。学級通信でその子の頑張りを載せたところ、「あなたももっと頑張らんと」と母親から説教されたある男子が自閉的傾向の子をいじめた。いじめがひどかったので母親を呼び、話をすると母親は泣きながら「単身赴任の父親から子どもの成績が思わしくないのは母親の責任だと言われて、子どもにつらくあたっていた」と言った。その後その子はいじめをやめ、第一希望ではなかったが無事高校に合格した。父親に報告するんだと喜んでいた。
その晩、父親は単身赴任先で孤独死していた。教育のあり方と共に日本の働き方(働かせ方)の異常さを痛感した。北九州では、タイムにこだわる体力調査のやり方が問題になっている。沖縄では3人に1人の子どもが貧困状態だが、就学援助を充実させている。政治を変えることが必要!


(2)「改訂学習指導要領のねらうもの」北九州学習会

(北九州市教職員の会 中川喜久子)

6月3日、全日本教職員組合書記次長、宮下直樹さんを講師に迎え、会場いっぱいの参加者で学習会を行いました。3月31日に告示された学習指導要領は、第一次安倍政権時(2006年)に改悪された教育基本法を具現化するものです。最近の閣議決定等にみられる「教育勅語」の容認とも合わせ、安倍政権の思惑がはっきり見えるものとなりました。

(資料)宮下直樹氏講演(要旨)

剣道
①育成すべき資質・能力」の強調
知識・技能を社会のために「どう使うか」「どう生きるか」等 生き方のコントロールにつながる。

②指導方法に言及、「アクティブラーニング」(主体的・対話的な学び)
今までも教師は学習内容によって積極的にやってきた。しかしこれが強調されることで、教師は指示を受け子どもたちに主体的に学習させる。形が先行する危険性。

③道徳の「教科化」
今までの道徳は、教師がクラスの実態を見ながら資料を選んだり作ったりして、「考えの違い」「価値観の違い」を交換しながら豊かな人間性を育むことをやってきたのに、「教科化」で一定の価値が押し付けられる危険性が非常に大きい。

④カリキュラムマネジメント..多くの予想される矛盾を学校現場で解決しろと責任転嫁。

銃剣⑤「外国語(英語)」の教科化
小学校3、4年生に外国語活動、5、6年生に教科としての英語が入るが、指導する教師は「英語」の免許を持っていない、時間数が足りないなど問題が山積み。また、現行、中学校1200語程度の単語が、小学校600〜700語、中学校1600〜1800語と倍増の予定。英語での授業を行うなど、子どもたちの学力差がつくのは必至。また家庭の経済力による格差拡大の危険性がある。

⑥中学校の体育「武道」に銃剣道が追加される。(事実上自衛官の競技)

【学習指導要領とは】
  1. 1947年学習指導要領(試案)
  2. 1958年小学校・中学校・ 1960年高校学習指導要領 改訂を官報に告示
  3. 1968年小学校・1969 年中学校・1970年高校学 習指導要領改訂を告示
  4. 1977年小学校・中学校 1978年高校学習指導要領 改訂を告示
  5. 1989年小学校・中学校・高校学習指導要領改訂を告示
  6. 1998年小学校・中学校・高校学習指導要領改訂を告示
  7. 2008年小学校・中学校、2009年高校学習指導要領 改訂を告示
感想と出された主な声

保護者・市民・教師それぞれの立場からのとまどいが出されました。

このままだと、管理統制が強まった教育現場で「どんな子どもたちを育てたいか」という教師の論議のないまま、スタンダード化された授業をスタンダード化された教師が、粛々と行うのではないでしょうか。

憲法と子どもの権利条約をもとに、子どもたちの「人格の完成」を目標にした教育ができるよう、保護者や住民参加の学校をつくっていかなければなりません。そのための学習や運動を途切れることなくやっていきましょう。


(3)「改訂学習指導要領のねらうもの」福岡都市圏学習会

(福岡県委員会 木下紀男)

(2)と同じく宮下直樹氏の講演を基本に福岡都市圏で開催、全体で66名の参加があり、29通の感想文が提出されました。

出された声

(新指導要領)(安倍教育改革)

新学習指導要領学習交流会

劇団K-T・・新指導要領を一つひとつ噛み砕いて説明していただき、大いに参考になりました。それと同時に、子どもをロボットのように画一化しようとする新指導要領に怒りを覚えました。職場に持ち帰り、仲間と共有して今後の活動に役立てたいと思います。

新婦人KO・・安倍政権のすすめる教育再生は許せないと思いました。何としても安倍政権を倒さなければ。今年大分で教師になった息子、毎日6時半に出勤し、20~21時まで残っているようです。先生たちのたいへんさを聞いて心が痛みました。先生たちと共同する、親同士も共同する、運動しながら学校と現場をまもりたい。新婦人らしく教育カフェを無数に。

考える会T・・いま、子どもたちのことをしっかり把握し、見守り、協力していかなければいけないとの認識を新たにしました。なかなか時間がとれませんが、きっと不安に思う仲間もいるはず。共通の不安を糸口にして、語らい、つどいをまた拡げていきたい。

(教員の多忙化)(先生が足りない)

地方議員O・・先生の多忙化の原因がよくわかりました。CSのおかしさも納得しました。教育委員会とも懇談し、上からの押し付けの教育でなく、下からの地域づくり、本来の町の教育をつくりあげるよう求めていきます。

西部H・・小学校で非常勤講師をしています。人が足りません。もっと学習・交流したいです。採用試験を受けるかどうかいろいろ考え悩んでいます。たくさん採用されても、たくさん辞めています。この春だけでも2人やめています。

(道徳)

教員OB-S・・心配ごと。教員の多忙化、教育のマニュアル化、教育の画一化、教職員の重層構造化、入学試験に道徳教育の反映、意識ある教員の減少。銃剣道を静観していいのか。

同O・・道徳教育の問題点を改めて認識しました。ココロザシ教育はこの先取りですね。宮城県のこの教育と仙台市の自殺三人は関係あるのではないでしょうか。このまま道徳教育がすすめられたら、もっと追い詰められる子どもたちが増えていくのではないでしょうか。

新婦人K・・自分の心の中を表現するのが苦手な子どものことを他人との関係づくりも経験せずに教師になっている。心のキビがわからない人が評価し、文章力のあやしい人がまた評価する。こんないいかげんなことで、子どもの心をいっそう傷つける。やめてほしい。現場の忙しさを聞くたびに、若い結婚したばかりの友人や産後復帰したばかりの友人のことが心配になる。年中、夫婦ケンカばかりしている。

子ども劇場M(春日市在住)・・今年の小中学校の運動会は、自衛隊祭りで日程が変えられました。銃剣道導入は身近な問題。アンテナをはっていきたい。大人同士が話し合う機会をつくっていくことの大切さを改めて感じました。関心ももつ人をひろげていきたい。

同KA・・宗像市の小学校の勤務している。道徳の強化化がとても心配。子どもの内申を評価するなど不可能ですし、すべきでない。このような学習会・集会をいろいろな場所で開き、たくさんの方と話しあいたいと思います。

中南K・・数の大小にかかわらず、無数の学習会を開くことが大切だと言われたことを肝に銘じてやっていかなければならない。道徳の教科化については、詳しくみて、具体的に批判していかなければならない。いろんな人が今の安倍政権やそのすすみ方に不安をもっていて、今日のような集会に参加したがっていると思います。集会を力にしていく方向でやれたらいいなと思いました。

教員OK・・銃剣道について大きな問題にしていかなければいけないですよね。道徳について、今、道徳研究校なのでいろいろ矛盾を感じながら日々過ごしています。新指導要領について、しっかり学習していかなければと思いました。今日は参加していろんな意見が聞けて良かったです。

PTA役員S・・新指導要領、特に、道徳についての考えや英語の低学年化についてコワさを感じた。

(CS:コミュニテースクール)

H町議・・町がコミュニテイスクール(CS)の指定し専任の人員配置しています。校長先生が「英語入れなら時間がどうしても足りない」と悩んでいる。

福津市M・・CSについて、私が思ったとおりだった。民主的と思われる人が、CSに取り組んでいる。社会福祉協議会の指導で、こども食堂をつくるよういわれ、熱心な方がとりくんでいる。市では2学期制を実施してきたが、30年度から3学期制にもどす。2学期制もいろいろあったが、今回も検証、説明なし。

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