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2014年5月10日(土)

福岡民報 2014年5月号

集団的自衛権の行使許さぬ闘いを 国民世論の変化を確信にして

日本共産党福岡県委員会副委員長 篠田清

5月3日の憲法記念日を迎えます。今年は、日本国憲法が施行されてから67年になります。安倍政権が憲法9条の改定を正面にすえて、集団的自衛権の行使容認を閣議決定で行い、日本を「海外で戦争する国」に変えようとしています。同時に、そうした立憲主義破壊の暴走に、歴代政府の憲法解釈を担ってきた元内閣法制局長官らをはじめ保守的な人々からも厳しい批判が巻き起こっています。

日本共産党が第26回党大会で呼びかけた「“戦争する国づくり、暗黒日本への道”を許さない国民的共同を」が共感の輪を広げつつあります。

憲法発布のとき、国民は

改憲が声高に叫ばれるいま、改めて戦後の出発点を振り返ることが大切になっているのではないでしょうか。日本国憲法が発布されたとき、国民はどう受けうとめたのでしょうか。

68年前、明治憲法からの「憲法改正草案」が発表された直後に、憲法9条について、毎日新聞が世論調査(1946年5月27日掲載)を行っています。それによれば、次のとおりです。

(1)「戦争放棄の条項を必要とするか。」の問いに、「必要あり」1395(70%)、「必要なし」568(28%)、と答えています。

(2)「戦争放棄の条項に修正の必要ありや」の問いに、「必要なし」1117、「必要あり」278、と答えています。

つまり、国民の多数は、当時、憲法9条に賛成でした。15年もの長きにわたるアジア太平洋戦争によって、アジアの人々2000万人以上、日本国民310万人が犠牲になりました。この塗炭の苦しみを強いられた国民が「戦争は二度とごめんだ」と思っていたことをしめしています。

私の父は日中戦争に一兵卒として参加し、中国軍と白兵戦を体験、負傷して軍属として終戦を迎えました。戦後、土建会社に勤め、自民党をずっと支持していましたが、「戦争だけは二度とすべきではない」と何度も語っていました。戦争を戦地で内地で体験した多くの国民とって日本国憲法前文と「憲法9条」に刻まれた恒久平和の誓いは、自分たちの思いを体現したものだったのです。

そうであるからこそ、戦後、歴代の保守政権が憲法改定を策しても、国民は、その都度、反撃して、その策動を阻止してきたのです。

追い詰められているのは安倍政権

安倍政権は、当初は憲法9条そのものの改定を一直線にやろうとしましたが、国民的反撃をうけ断念。次は憲法改定の手続き緩和のために96条の改定をもちだしました。これに対しても改憲派の小林節慶応大学教授が「しんぶん赤旗」日曜版に登場して「邪道だ」と指弾するなど批判が広がり頓挫しました。そこで出してきたのが集団的自衛権の行使容認を解釈改憲で、しかも閣議決定だけで強行しようとするやり方です。

これにたいして、歴代の内閣法制局長官や元自民党幹部から「立憲主義の否定」という批判が沸き起こっています。小泉内閣時代の内閣法制局長官を務めた阪田雅裕氏は3月25日、福岡市での講演で「選挙で(国会の)多数を取れば憲法の解釈を自由にしていいというのは立憲主義ではない」「(ベトナム戦争など)戦後の戦争はすべて集団的自衛権の名で行われてきた。行使できるという解釈をした途端、憲法9条はあってもなくても同じになる」と批判しています(「西日本」3月26日)。

それだけに安倍政権は、反対世論を抑えようと躍起になっています。毎日新聞(4月5日)によれば、菅義偉官房長官が水面下で自民党内の慎重派の切り崩しに動いていると報じています。
「3月17日、慎重派の代表格である古賀誠元幹事長は講演で解釈改憲による行使容認を批判し、安倍首相を『わがままな坊ちゃん総理』とまで言い切った。

その直後、菅氏は周辺に漏らした。『古賀さんをだまらせないといけない』。古賀氏とひそかに会い、『集団的自衛権を全て認めるわけではない』と理解を求めた。今月3日、高村氏と会談した古賀氏は『限定的ならば容認してもいい』と批判を弱めたという」

古賀氏といえば、「しんぶん赤旗」日曜版に登場し、戦争で父親を亡くした実体験を踏まえて9条改定に反対していた人です。その古賀氏を「集団的自衛権」の「限定容認」論に引き込み自民党をまとめようとしているのです。

ご都合主義の論立て

しかし、この「限定行使」論(「限定容認」論と同じ)なるものが、まったくのまやかしにすぎないことは、4月10日、志位和夫委員長が記者会見で述べた「『限定行使』論二つの問題点」(「赤旗」4月11日)を読んでいただければ、一目瞭然です。

さらに、この問題では、一般紙の社説でも志位見解と基本的に同じ観点で厳しい批判がされています。11日の毎日新聞は「集団的自衛権限定容認論のまやかし」との見出しをたて、自民党の高村正彦副総裁の砂川判決を根拠にした憲法が認める必要最小限度の自衛権行使に集団的自衛権の一部が含まれるとの主張を正面から批判し、結論として次のように指摘しています。

「72年の参院決算委員会に提出された政府資料は、砂川事件の最高裁判決から同じ部分を引用し、個別的自衛権の根拠とする一方で集団的自衛権の行使を否定している。それを今になって集団的自衛権の行使容認の根拠とするのは、ご都合主義といわれても仕方ないのではないか」。

まさにその通りだと私も思います。

同じ11日の西日本新聞も「集団的自衛権『限定容認論』は無理筋だ」との見出しで「限定」の歯止め外れる危険があると指摘、次のように批判しています。

「『限定容認』などとうたっても、米国の意向に従順な日本外交の体質を考えれば、イラク戦争のような大義のない米国の戦争に13本が巻き込まれるという事態は十分考えられる」。

社説は最後にこう述べています。「安倍政権が集団的自衛権の行使容認がどうしても日本の安全保障にとって必要だというのなら、憲法改正を打ち出して堂々と国民に是非を問うのが本筋だ。国民の幅広い合意を得るための努力を尽くさないまま、『限定容認』のような抜け道を使うべきではない」

一般紙から「まやかし」「無理筋だ」「ご都合主義」と言われる論立てしかできない安倍政権の集団的自衛権行使容認論は、彼らがいかに追い詰められているかをしめしているのではないでしょうか。

志位委員長は先の会見で「ここへきて『限定行使』論がにわかにでてきたのは、集団的自衛権への国民の不安と批判が急速に高まってきていることがあります」「国民の批判をかわすためのごまかしの議論を打ち破り、『海外で戦争する国』への暴走をストップさせていきたいと決意」を表明しています。

世論の劇的な変化

このたたかいにおいて、大事なことは国会での論戦と国民世論です。

阪田氏もさきの講演で「(解釈見直しの)暴挙を止めるのは皆さんの世論しかない」と訴えています。その点で私が注目したのは、朝日新聞(4月7日)が報じた世論の変化です。それによると、集団的自衛権について「行使できない立場を維持する」が昨年の調査の56%から63%に増え、「行使できるようにする」の29%を大きく上回っています。特に男性20代は「行使できない立場を維持する」が58%から77%に跳ね上がっています。いまの憲法が「全体としてよい憲法」という人は、昨年の53%から63%と10%も増加。「そうは思わない」の27%を引き離しています。

憲法改定の是非についても、昨年は「変える必要がある」54%、「変える必要はない」37%だったのが、今回は「必要はない」が50%と13%も増え、「必要がある」の44%と逆転しています。そして、昨年と比べてすべての性・年代で「変える必要はない」が増加しているのです。

憲法9条についても、「変える方がよい」が29%、「変えない方がよい」が64%となっています。男女とも全世代で咋年より「変えない」が増え、「朝日」の調査で昨年初めて「変える」が多数となった男性も、今回は「変えない」56%、「変える」40%を上回っています。

9条を変えるべきだと主張する自民党の支持層でも43%対49%、安倍内閣支持層でも41%対52%となり、「変えない」が上回っています。

この世論の劇的変化をだれがつくったのでしょうか。私は、昨年来の国民的な運動、秘密保護法案反対の運動、原発再稼働反対の運動、「9条の会」の多彩な取り組み、そして、都議選、参院選での日本共産党の躍進だと考えます。

同時に、「朝日」の調査を見ると、安倍政権のやり方そのものが、国民の反発を招いていることがわかります。北朝鮮の軍事挑発や中国の軍事力増強をことさら煽り、軍拡をすすめ日米軍事同盟を強めようとする手法が国民から危惧の念をもって見られています。まさに墓穴を掘っているといってもいいのではないでしょうか。

安倍政権が集団的自衛権の行使を検討するなど日米軍事協力を強めることで、軍事的な緊張が「高まる」という人は65%。「そうは思わない」29%を大きく上回っています。また、安倍政権の姿勢は東アジアの平和と安定にとって「マイナスの面が大きい」という人は、昨年の51%から60%に増加。昨年「プラス面が大きい」と答えた人が多数だった男性20~50代や安倍内閣支持層、自民党支持層でも今回は「マイナス」が多数となり、安倍政権を見る目が大きく変わっています。

集団的自衛権を行使できるようになったら日本が戦争に巻き込まれるかもしれないという不安をどの程度感じるかと4択で尋ねると、「大いに感じる」52%、「ある程度感じる」36%で「感じる」が計88%。一方、「まったく感じない」1%、「あまり感じない」8%で「感じない」は計9%にしか過ぎません。

こうした結果を見て、「朝日」は「東アジアの緊張が解けない中で日米軍事協力を強める安倍政権に有権者が危機感を抱き、戦争への不安も現実味を帯びて感じるようになった」と指摘しています。

中韓との関係改善を求める国民

さらに重要なことは、国民が中国、韓国との関係改善を強く求めていることです。日中関係改善の必要性は、「大いに」26%、「ある程度」54%。日韓関係改善の必要性も、「大いに」21%、「ある程度」53%です。そして、関係改善のために一番重視すべきものを3択で聞くと、日中関係について、日本で最多は「経済や文化の交流を深めること」の36%。中国では「領土をめぐる問題の解決」の42%。日韓関係では、日韓ともに「過去の歴史問題の決着」が最多です(日本は38%、韓国では65%と差があります)。

こうした世論の動向をみると、国民は軍事的緊張を強めるのではなく、経済や文化交流を深める平和的な対話、外交による解決をもとめていることは明らかです。私は26回党大会で打ち出した「北東アジア平和協力構想」を、いま国民の中に普及していくことが重要だと思います。また、志位委員長が発表した「歴史の偽造は許されない―『河野談話』と日本軍『慰安婦問題の真相」(パンフレット)を普及することも国民の願いに応える取り組みとして特別に重視することが大事ではないでしょうか。

綱領で日本国憲法を守りいかすことを明記している日本共産党がいまこそ打って出るときです。

「9条の会」活動の抜本的強化を

「九条の会福岡県連絡会」の主催で4月19日、「特定秘密保護法廃止・集団的自衛権行使許さない福岡県民集会」開かれました。

国民の運動と世論の力で安倍政権を追い詰め、集団的自衛権行使容認の野望を、立憲主義破壊の策動を打ち砕いていこうではありませんか。

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