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2011年10月12日2014年6月14日

九電第三者委員会の「最終報告」が明らかにしたもの

“ウソと癒着” で押しつけられた原発はいらない

真島省三(日本共産党福岡県委員会・県民運動委員会副責任者、前県議)

はじめに

福島原発事故は、原発と人間社会は共存できるのかという大問題をつきつけました。

被害の深刻さが明らかになり、どの世論調査でも、7割から8割が原発の縮小・廃止を求めるなど、国民の意識に劇的な変化が起き、「安全神話」は根底から崩れつつあります。

いま、大手メディアが国民の原発ノーのたたかいを黙殺するなかでも、「9・19さようなら原発集会」が6万人の参加で大きく成功するなど、国民的共同の広がりは押しとどめることができず、原発推進勢力をおいつめています。

そうしたなかで、7月に発覚したのが、玄海原発2、3号機の再稼動にかかわる国主催の「説明番組」における九州電力の「やらせメール」問題です。

この問題は、九電の関連会社の方から、日本共産党福岡県委員会に告発が寄せられ、「しんぶん赤旗」がスクープし、国会で笠井亮議員が追及したことによって明るみに出たものです。

その後、相次いで表面化した原発をめぐる「政治のウソ」と癒着の実態に、国民の怒りが広がり、玄海原発を皮切りに全国の原発を再稼動させようとしていた政府の思惑を打ち砕きました。

なぜ、「やらせ」をしなければならなかったのか―それは、不正な世論操作をやらなければ、「原発は安全だ」と住民を説得することができない、言い換えれば、原発がいかに危険なものであるかを、自ら証明したことにほかなりません。

9月30日、九電の「やらせ」問題を調査してきた同社の第三者委員会(郷原信郎委員長)は、「最終報告書」(以下、「報告書」)を提出しました。

「報告書」本体だけで76ページ、他に2つの調査チームの報告書が計132ページで、合計で200ページを超えるものです。

そこで解明されているのは、玄海原発へのプルサーマルの導入や再稼動にかかわる重要な局面で、政府、電力会社、立地自治体が連携して、住民、国民をだましてきた生々しい実態です。

本稿によって、「報告書」が解明した玄海原発をめぐる政治と電力会社のウソと癒着の実態をより多くの福岡県民に知っていただき、原発からの撤退をもとめる運動の一助としていただければ幸いです。

目次

九電第三者委員会の「最終報告」が明らかにしたもの
1)福島原発事故で「安全神話」が崩壊、国民や日本社会は、「本来的に危険な原発」を運営する電力会社に何をもとめているのかという視点が貫かれている。
2)プルサーマル導入や再稼動などの重要な局面で、原発推進のためなら国民、住民をだましてもはばからない九電の企業体質と、そうした不正行為を緊密に連携してすすめてきた立地自治体との構造的癒着関係(「原発利益共同体」)の実態が浮き彫りに。
3)「やらせ」が発覚し、第三者委員会の調査がおこなわれ、その実態と知事との癒着が認定されるなかで、自ら事実を解明する意思がないどころか、逆に事実を隠蔽し、第三者委員会に対する異常な「反論」までおこなうなど、九電の経営トップの異常さ、無責任さ、反省の無さが断罪された。
4)背景として、わが党と国民のたたかいによって、プルサーマルや原発再稼動に圧倒的な住民が納得しない状況を生み出し、九電が苦し紛れに、重要な節目となる企画で、知事の意向も受けて企業ぐるみの組織的な不正行為をおこなってきたことが明らかになった。
5)九電が、実行した社員個人に責任をおしつけ、古川知事をかばい、経営トップの責任を免罪しようとしていることを厳しく批判し、経営トップの責任を明確にした。
“ウソと癒着”で押しつけられた原発はいらない
1)九電は、自らの第三者委員会の事実認定を認め、経営トップが明確な責任をとれ。あらゆる不正の事実を開示し、反省すべきを反省し、再発防止につとめよ。それさえできないなら、九電に危険な原子力事業を担う資格はない。
2)九電は自らの第三者委員会の事実認定さえ採用しない構えであり、政府は調査を当事者任せにしたことを反省し、直接乗り込んで、全面的究明を行うべきだ。
3)佐賀県は、「やらせ」行為への自らの関与を否定するだけでなく、第三者委員会等の設置等によって中立的、客観的な立場からの調査を行うべきだ。
4)強力な権限と体制をもった原子力の規制機関をつくり、癒着を断て。
5)いまこそ、原発からの撤退の政治的決断をし、プルサーマルや老朽原発は即時停止、廃炉に。他の原発も、推進機関から独立した規制機関の確立、それぞれの原発の危険性を明らかにしたうえでの最大限の対策、それへの住民合意なしに再稼動など論外。
6)福岡県及び糸島市、福岡市と立地自治体なみの「原子力安全協定」を結ぶこと。事故情報には、遅滞なく細大漏らさず福岡県と県内のすべての市町村に報告せよ。
最後に…九州こそ原発ゼロ一番のりを

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