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2015年11月3日2016年8月7日

福岡民報2015年11月

亡国のTPP「大筋合意」 撤退、調印中止を求める大運動を

日本共産党福岡県委員会食料・農林漁業部長 田中陽二

環太平洋連携協定(TPP)交渉をめぐり参加12力国は10月5日、「大筋合意」しました。各国が自国民の利益11国益を最大限追求するなか、日本は早々に譲歩して国民を犠牲にして「行司役」に徹するありさまでした。安倍晋三自民公明政権は、「早期妥結」を最優先にしてアメリカへの譲歩を繰り返し、アメリカ産の米を対象に年7万トンの無関税輸入枠を新設するとともに、ミニマムアクセス(最低輸入機会)の年77万トンの枠内でアメリカ産米の輸入を現状の36万トンより実質的に年5万トン増やします。酪農製品の輸入拡大のための「輸入枠」を設定し、牛肉・豚肉の関税を大幅に引き下げ・廃止するなどとされています。どれをとっても、重要品目の「聖域は守る」とした公約を、安倍政権が公然と投げ捨てたことになります。TPPは関税撤廃を原則にするとしながら、自動車の関税は日本がゼロなのに、アメリカ自身は25年聞にわたって関税を維持する、まるで”21世紀の不平等条約”です。まさにアメリカと多国籍企業の利益優先の合意であり、安倍政権の姿勢は、まさに売国的、屈辱的外交そのものです。TPPは、地域経済・雇用、農業、医療・保険、食品安全、知的財産権など国民の生活・営業に密接にかかわる分野で、国民の利益と経済主権をアメリカや多国籍企業に売り渡すものです。

安倍首相は「自民党のTPP交渉に先立って掲げた国民との約束はしっかり守ることができた」などとしていますが、とんでもないごまかしです。自民党が政権復帰した2012年総選挙の選挙公約は「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP交渉参加に反対」というものでした。

全国の農業団体は、農産物重要5品目の貿易ルールが緩和される合意内容に「国会決議に反する」と憤りの声をあげています。福岡中央会の倉重博文会長は「大筋合意したことに失望と憤りを抑えることができない。これまで国会議員に対して、農産物の重要品目の取り扱いなどを定めた国会決議の順守を強く求めてきた。今後は合意に関する県選出国会議員の見解を求めていく。合意されたといわれている内容は、到底受け入れられない。農家経営に危機的な打撃を与えることが強く懸念される。今後は、政府・与党に対し合意内容の詳細な説明を求めるとともに、条約批准に向けた国内手続きが進む場合は、毅然とした態度で断固反対の運動を継続する」(「農業新聞」10/7)と憤りを表明しています。

田村貴昭、真島省三両衆院議員と、いせだ良子参院比例候補らが8月、JA福岡中央会を訪問したさい、同会の役員は7月に採択した「TPP断固反対」に関する特別決議―「我々は、国権の最高…機関たる国会の意思表明であり国民との約束である国会決議を必ず遵守し、農林水産分野の重要5品目や国民皆保険制度などの聖域が確保できないなど政府方針の実現が困難ならば、即刻、TPP交渉そのものから脱退するよう強く求めてきた―を紹介。「政府自民党には約束を守ってTPPから脱退してもらいたい」と話しました。

安倍政権が「大筋合意」してもTPP交渉が決着したわけではありません。これから協定文書の作成とその調印、さらに各国の批准、国会承認という段階があります。日本共産党は、安倍政権に、TPP協定書作成作業から撤退し、調印を中止することを強く求めていきます。

斉藤和子衆院議員事務所の調べでTPP「大筋合意」で、日本政府は、生鮮野菜の関税全廃を制約していたことがわかりました。このように国民の食と安全を脅かし、日本経済とくらしに深刻な影響を及ぼす「大筋合意」の内容とアメリカに大幅譲歩を繰り返した交渉の実態が明らかになれば、国民のより大きな反対世論が沸き起こらざるを得ません。

いま、TPPに反対するたたかいとともに、戦争法廃止、消費税増税阻止など、安倍政権の暴走政治に対して、「アベ政治ノー」の国民的運動が大きく広がり、安倍政権を追いつめています。日本共産党福岡県委員会は、農業者、消費者、農協、農民組合などTPPに反対する団体・個人の共同を広げてTPP阻止に総力をあげる決意です。

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