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2017年6月1日2017年8月10日

福岡民報2017年6月号

特別支援学校の増設を求めて

県議会議員 高瀬菜穂子

福岡県の特別支援学校、足りません

築城特別支援学校の視察「高瀬さん、特別支援学校がますますひどいことになっとるけど、一度見にきて」。学校現場で働くかつての仲間からの電話は、県立特別支援学校の異常さを告発するものでした。もともと、福岡県の特別支援学校の整備は遅れており、私が議員になったばかりの18年前から、「高等部をつくってほしい」「特別支援学校の増設を」という要望が各方面から出されていました。高等部のある直方特別支援学校には、県内各地からバスで片道1時間半もかけて、支援を必要とする生徒たちが通っていました。 その後、高等部の増設が進み、太宰府・古賀に特別支援学校が新設されました。しかし、特に要望の強い糸島地区(小中学部は福岡市に通学)の新設は見送られてきました。

県教委は、2007年に特別支援学校の児童生徒数が増加することを見込んで整備計画をたてました。しかし、実際には推計値をはるかに上回って、支援を必要とする児童生徒は増えたわけです。2015年(平成27年)の知的障がい児数は1,901名ですが、推計の1,583名より362名も上回っています。

パンク状態の特別支援学校

築城特別支援学校の視察さっそく、現場を見てみようと、直方・築城・太宰府の3特別支援学校を視察しました。 直方特別支援学校は、もともと拠点校でマンモスでしたが、現在、学校統合で知的障害・聴覚障害・肢体不自由の生徒を受け入れているので、施設整備されたとはいえ、教室は不足しています。聴覚障害の子どもたちは、1クラス1人・2人で、手厚い指導を受けており、生き生きとした表情が印象的でした。一方、知的障害のクラスは満杯で、法定定数は1クラス8人ですが、福岡県は9人を詰め込んでいます。障害区分の異なる生徒を受け入れていくには、さらに広い空間が必要です。

築城特別支援学校は教室が全く不足していました。特別教室、図書室の一部も教室にかえ、教室内を間仕切りして、空間をつくっていました。「パニックを起こしたとき、クールダウンが必要なときはどうするのですか?」と聞きましたら、「クールダウンの部屋がありません。先生がダンボールで囲ったりしています」とのこと。特別教室を見せてもらっていたら、作業中の先生が「オスプレイやめて、教育予算を増やしてください」と言われました。

そんな中でも、木工細工や、さおり織りなどのすばらしい作品を作り、生徒手作りのケーキでおもてなしいただきました。

「帰りの様子を見てください」と校長先生。スクールバスと放課後デイサービスのお迎えの車が玄関前にずらりと並び、先生方が総出で、間違いないようにそれぞれの子どもたちを車に乗せます。「全員が帰ったあと、本当にほっとします」と校長先生がおっしゃいました。神経を尖らせて、教育活動を行っていることがよくわかります。

たった4年で パンク状態「太宰府特別支援学校」

パソコン分の空間しか確保されない職員室

パソコン分の空間しか確保されない職員室

「放課後支援サービス」の事業所と利用者の一覧

「放課後支援サービス」の事業所と利用者の一覧が 壁いっぱいに張られている(毎日変わる)

太宰府特別支援学校は、わずか5年前に開校したばかりです。ところが、その規模ははるかに想定を超え、さまざまな困難を抱えていました。この学校は、知的障がいと肢体不自由の子どもたちが通います。2016年度、学級数93、児童生徒数454、教員数192。飛びぬけたマンモス校で、校長先生のお話では、全国で6番目に大きく、複数の機能を受け持つ学校としては全国1とのこと。開校4年目で、児童生徒数は、当初予定の1・74倍にも達しました。スクールバスは13台、職員の駐車場が足りず、常時60台を校外に駐車せざるをえない状況で、学校行事の際の保護者の駐車場がありません。給食も100食分足りず、子どもと同じ食事ができませんでしたが、2016年度の予算で給食室は拡張して対応するということでした。

特別教室や多目的室、校長室の隣の応接室も教室に変えて、やっと対応しています。「ぜひ見てください」といわれた職員室は、一人60センチしか確保されておらず、パソコンを置いたら、いっぱいです。隣の人と肘がぶつかると嘆いておられました。

帰りの時間がやってきました。生徒たちが続々玄関前のホールに集まり、大変な混雑です。車椅子やベッドの子どももいるので、事故が起こらないよう細心の注意が必要です。教頭先生がトランシーバーを持ち、校長室に待機、他の先生もトランシーバーを持って配置に着きます。
13台のスクールバスと100台近い放課後支援サービスの車を誘導するのです。一方通行にするため1キロ先まで行って、他の車の進入を止める先生もいます。

「放課後支援サービス」が充実してきましたが、子どもたちは毎日行く場所が違うため、全員を間違いなく車に乗せるのは大変な苦労です。視察した日は、卒業式のあとでしたから、子どもの数は日ごろより少なかったのですが、見ているだけで緊張し、疲れました。

新たな整備計画で、特別支援学校3校増設、
築城特別支援学校に校舎増設が決定!

2016年2月の予算特別委員会で、この特別支援学校の充実改善を山口律子議員が質問しました。その後、文教常任委員会が太宰府特別支援学校を行政視察、他会派からの質問もあり、2016年11月、県教委は、「県立特別支援学校の今後の整備方針について」を発表しました。

特に不足している ①古賀、太宰府、糸島地域に特別支援学校を増設すること、②直方特別支援学校についても推移を見て整備を検討すること ③築城特別支援学校については、敷地内に校舎を増設すること、が決定しました。

長年の運動と議会論戦が実りました。今後、整備を急がせ、障がいのある子どもたちに安心して教育が保障されるように、さらにがんばります。

〈 議事録は 福岡県議団ホームページをごらんください〉

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