2020年4月22日
新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急申し入れ (第2次)
福岡県知事 小川 洋様
日本共産党福岡県委員会
委員長 内田 裕
日本共産党福岡県議会議員団
団 長 高瀬菜穂子
新型コロナウイルス感染症対策へのご尽力に敬意を表します。
福岡県でも感染確認が急増したことを受け、政府は4月7日に緊急事態宣言を発出しました。これに伴い、県は緊急事態措置を実施し、外出自粛、イベント開催自粛をよびかけるとともに、特措法に基づく施設の休業と、特措法によらない飲食店にも営業時間短縮を要請しました。
すでに2月下旬のイベント自粛要請と全国一律休校から2か月近く経ち、様々な分野の中小・零細業者が倒産の危機に直面しています。多くの労働者は正規も非正規も仕事がなくなり、先の見通しが見えずにいます。観光業やイベント業、飲食業、音楽、演劇、映画など文化活動に携わる多くの個人事業主やフリーランスが収入を断たれ、生活困窮の淵に立たされています。「新型コロナに感染する前に、自ら命を絶つしかない」と悲鳴があがる深刻な事態です。
感染拡大を抑えるための休業要請は、その補償とセットで行ってこそ効果がありますが、政府は「補償」を拒否する態度に固執しています。こうした中、都道府県や市区町村が独自に、自粛や休業の影響を受ける事業者等に対する協力金や支援金の支給を決め、福岡県も国制度の対象にならない業者に対する独自の「中小企業緊急支援金」の実施を決定しました。苦境にあえぐ業者に喜ばれています。一方で、全体として規模があまりに小さく、自治体の財政力によって支援内容に差があることから、「新型コロナで影響を受けるのはどこも同じなのに住んでいる所でなぜ違うのか」と不満の声があがるのも当然です。一刻も早く、生活に困る人に希望の持てる対策を示して実行することが政治に課せられた役割です。
また、福岡県でも感染経路のわからない感染者が多数になっており、クラスターを追跡するこれまでの検査方式は限界に達しています。医療機関から「感染疑いがあるのに検査を断られた」「保健所に電話するがまったくつながらない」という声があがっています。県も対策を進めていますが、医療崩壊を阻止するために、必要な人を速やかに検査するよう方針を転換し、関係機関と連携して検査体制確立を急ぐ必要があります。
これらを実行するには、国において相当の財政措置を講じる必要があり、日本共産党も政府への要望や提案を繰り返し行っています。
つきましては、私たちに寄せられた声と実態をふまえ、3月18日の第1次分に続き、緊急に必要な以下の事項について要望致します。
記
1、検査・医療体制の拡充等について
- 福岡県において医療崩壊を阻止するため、必要な検査を大規模に行う体制への転換が急務です。医師の判断ですぐに検査を受けることができるようにするとともに、重症者とそれ以外を分けて対応し、院内感染が起きないような手立てが必要です。県として関係自治体や病院、医師会と協力し、県内各地に「PCR検査センター」を設置すること。費用は全額国費とするよう国に要望すること。また、ドライブスルー方式の検査の実施を検討すること。あわせて、血液を使った簡易な検査キットによる抗体検査を早期に導入すること。
- 県内の医療機関から、感染者の受入や空床確保の要請に応じて生じる減収、また一般外来患者の減少の長期化による減収によって、深刻な経営危機に直面しているとの声があがっています。医療崩壊は是が非でも防がなければなりません。減収に対する補てん、運転資金確保のための支援は急務であり、国に要望するとともに、患者受入による減収分の助成を決めた東京・杉並区にならい、国が十分な支援に踏み切るまで、県独自に先行実施すること。
また、感染防止に努め強いストレスのなか働いているすべての医療従事者に対する「危険手当」を支給すること。 - 医療機関で不足する医療用マスクや消毒液、防護服、人工呼吸器を優先的に確保し、各医療機関への供給計画を早期に示すこと。
- 国民健康保険の傷病手当金の支給について、厚生労働省保険局国民健康保険課の3月24日事務連絡「新型コロナウイルス感染症に感染した被用者等に対する傷病手当金の支給について」及び国会答弁によって、条例改正の専決処分が可能であることが明らかになっており、市町村に周知徹底すること。
また、資格証明書交付世帯の人が病院にかかれない事態は改善されておらず、ホームページへの掲載では該当者に周知されていないことは明らかです。短期保険証を届けて周知するよう市町村に働きかけること。
収入が急減し医療費の支払いが困難な加入者に対して国保法44条(一部負担金減免)を活用すること、及び77条を活用することを市町村に周知徹底すること。 - 家庭内感染によって両親とも入院した場合やひとり親が入院した場合に子どもを保護・受入れする体制がないことに不安が広がっています。要介護の親を持つ家庭も同様の不安があります。関係機関と協力し、こうしたケースに対応する支援、受入れ体制を確立すること。
2、中小企業・業者への支援の強化について
- 国の「持続化給付金」の対象とならない中小企業等への現金給付「福岡県中小企業緊急支援金」(約154億円)は、法人50万円、個人事業者25万円では当面の固定費にも足らず、増額すること。また、対象について、売上が前年同月比50%未満、30%以上の減少とされていますが、中小・零細業者は売上減少30%未満でも同じような大きな影響を受けており、売上が減少したすべての中小企業・業者を対象にすること。あわせて、国に対し「持続化給付金」の拡充を要望すること。
- 県は緊急事態措置として休業要請、営業時間短縮要請を行いましたが、補償がないために中小企業・業者が廃業に追い込まれることが懸念され、休業に踏み切れない店舗等もあります。感染拡大防止のための補償を国に要望するとともに、県独自に休業に対する補償を行うこと。
また、演劇やコンサート、映画上映会などのイベントが自粛要請を受けて中止に追い込まれまていますが、そのキャンセル料、会場費などの損害について、2~3月分までさかのぼって補てんすること。 - 国(政策金融公庫)の緊急融資は3年間は無利子で、据え置き5年(設備資金20年、運転資金15年返済)がすでに取り組まれています。福岡県も今回、無利子・無担保の緊急特別融資(上限3000万円)を創設しますが、市町村の認定手続き等を省略し、直接金融機関で対応できるようにするなど、迅速に貸付ができるようにすること。
- 社会保険料、固定資産税、自動車税などの納付を猶予または免除すること。
3、生活支援の拡充について
- 「一人10万円」の現金給付について、一日でも早く給付されるよう、手続きの簡素化を国に要望するとともに、市町村の事務手続きを強力に支援すること。DV被害者に確実に給付されるよう、市町村と連携し適切に対応すること。
また、諸外国で実施されている賃金や収入の8割補償を実現するため、雇用調整助成金を拡充することや、個人事業主やフリーランスへの補償の仕組みをつくることを国に要望すること。 - 新型コロナ対策の緊急生活福祉資金の周知を徹底し、すみやかに実施されるよう県社会福祉協議会の審査体制を強化し、迅速に審査決定すること。
- 生活保護の運用について、「申請の意思のある方に対しては、生活保護の要否判定に直接必要な情報のみ聴取」し、速やかな保護決定を行うこと、自動車保有についても柔軟に対応すること、などについて示した厚生労働省事務連絡を福祉事務所に徹底するとともに、関係自治体に周知すること。
- 休業要請・外出自粛等によって失業した人、内定取り消しにあった人を臨時職員として採用すること。また、市町村にも同様の臨時採用を促進するよう働きかけること。
4、介護施設等への支援について
- 高齢者の命を守るため感染防止の様々な対応を迫られている介護施設、サービス中止・縮小や利用減少による減収で経営難に直面する介護施設への経済的支援を行うこと。
障害者施設についても同様の支援を行うこと。
5、教育を受ける権利の保障について
- 市町村に対し、新年度の教科書配布を徹底すること。教師とつながる機会を少しでも増やすために、通達に基づき、ICTによるオンライン授業などを進めること。そのために、すべての生徒にタブレット等を配布するなど環境整備を急ぐこと。
- 突然の休業や失業で収入が急減した家庭の児童生徒の就学援助について、前年度所得に関係なく申請を受け付け、現状にあった対応をすること。
- 学生のアルバイト収入が激減していることをふまえ、県立大学の授業料納付期限を授業開始後まで延期するとともに、猶予制度を設けること。高等学校等就学支援金、高等学校授業料減免など修学支援制度を周知徹底すること。
6、DV・虐待防止について
- 自宅で夫婦・親子が長時間過ごし、ストレスや疲労を抱えています。DVや子ども虐待防止の対策を早急に整備すること。民間支援団体への予算の拡充と、相談員補充やオンライン設置を早急に整備すること。
7、財源確保と国への要望について
- 医療崩壊を防ぐ対策や休業補償、生活支援にかかる財政措置は国の責任であり、「地方創生交付金」の大幅増額を国に強く要望すること。
- 県としても、不急の大型公共事業予算を凍結し、新型コロナウイルス対策にかかる独自の財源を確保すること。
以上