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2020年5月20日

【声明】小川知事による日田彦山線の鉄道復旧「断念」に抗議し、
撤回を強く求める

沿線町村への「BRT導入」押し付けをやめ、住民の願いである鉄道復旧をJR九州に要求せよ

日本共産党福岡県委員会
日本共産党福岡県議会議員団

一、5月18日の西日本新聞夕刊に続き、19日の朝刊各紙が「福岡県の小川洋知事が沿線の同県東峰村に対し、鉄道による復旧を断念する方針を伝えるとともに、BRT(バス高速輸送システム)の専用道延伸案を提案していたことが、わかった」(読売新聞)などと一斉に報じた。

東峰村の澁谷博昭村長は「鉄道復旧を求める立場は変わらない」と述べている。同村の村民アンケートでは98%が鉄道復旧を望んでおり、また「日田彦山線の完全復旧を求める会」は、自治体負担なしの鉄道復旧を求める署名を人口の9倍にのぼる17,900筆集め、県とJR九州に提出している。県議会も党派をこえて知事に対し、鉄道復旧をくり返し求めてきた。

ところが、小川知事は、昨年3月の第3回復旧会議以降、それまでの態度を覆し、鉄道復旧を求めないばかりか、JR九州の「代替案」を容認し、沿線町村に押し付ける一方、住民の声を聞くことなく結論を急いできた。知事の今回「断念」表明は、JR九州に完全に屈服した、県民への裏切りであり、わが党は強く抗議する。
報道によれば、知事が住民に直接説明するとのことだが、「断念」と「BRT導入」を一方的に押し付けることなど断じて許されない。ただちに撤回し、住民の願いである鉄道復旧の実現に向けてJR九州と交渉する立場に立ち返るべきである。

一、わが党は、沿線町村の住民の声に応え、一貫して早期の鉄道復旧を求め、国会でも県議会でも積極的に論戦してきた。

JR九州は「被災区間を復旧しても採算が合わない」などとして、年1億6000万円の自治体負担を鉄道復旧の条件とし、それが飲めないなら「代替」としてバスを使ったBRTを導入するという態度に固執してきた。

しかし、災害によって不通となった鉄道を復旧することは当然であり、完全民営化の際の約束でもある。「不採算」を理由に復旧しないことには何の道理もない。乗客数の少ない部分はネットワーク全体の収支でカバーするのが基本であり、一部分だけ切り分けて「不採算」とする根拠はない。JR九州は六百数十億円の営業利益を上げており、十分な体力のある大企業である。もともと国鉄分割民営化の際に負債を免除され、経営安定基金3,877億円まで受け取っており、国や自治体から様々な資金援助を受けている。

また、BRTの専用道は一部区間だけであり、代替に値しない。利便性が悪化し、沿線町村の人口減少や観光客減少を招きかねない。これまでJR九州管内の被災路線は時間がかかっても復旧してきたが、日田彦山線を復旧しないことになれば、災害を機にローカル線が次々廃止される道を開くものである。

復旧費用についても、わが党は国の財政負担を最大限引き出せば17億円程度の負担で鉄道復旧ができると示してきた。BRTは専用道を新たに整備するものだが、JR九州案では11億円、小川知事が今回提示した新案では20億円近くも費やすことになる。「BRTが安上がり」論は破たんしている。まともな試算さえもしない「BRT先にありき」の態度は県民の理解を得られるものではない。

一、コロナ禍の中で、利益第一主義による社会のあり方が見直されようとしている。持続可能な社会実現は国際的な課題であり、環境にやさしい鉄道交通は守るべき県民の宝である。被災後も当地に住み続け、復興に尽力している住民の圧倒的多数が鉄道の存続を切望し、鉄道を地方創生の柱と位置付けて、豊富な観光資源とつなぎ地域振興をすすめようとしている。行政と住民が一体となったその取り組みと情熱に深い感動を覚えるものであり、県行政はその思いに応えるものでなければならない。

一、わが党は被災直後から現地調査に入り、沿線町村の首長と住民の鉄道復旧を求めるたたかいに固く連帯し、国会、県議会等で繰り返し取り上げ、JR九州と直接交渉して復旧を迫ってきた。今後とも「住民こそ主人公」の立場を貫き奮闘する決意を表明する。

以上

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