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2025年2月4日

県民みんなでつくる福岡県に

2025年福岡県知事選アピール(3月6日告示、23日投開票)

2025年2月4日 「県民の会」臨時総会

県民のみなさん。このアピールは、いまの県政のここをこう変えれば、もっと多くの県民を幸せにできるし、地域を元気にできるのでは、という私たちの提案です。

私たちは、みなさんから、要求や提案を広く募集し、ともに新しい県政をつくっていきたいと思っています。ぜひ、お読みいただき、みなさんの願い、ご意見をお聞かせください。

1、命とくらし、人権が第一、格差是正、地域を元気にする県政へ

くらし向きはいかがですか。30年余続く新自由主義的な経済政策は、非正規雇用を増やして賃金を抑え、社会保障の負担を増やし、教育費の大きな負担を放置・拡大し、消費税を10%まで引き上げてきました。そして、気候危機打開にも、ジェンダー平等にも本気でとりくまない政治が続いています。その結果、貧困と格差を広げ、地域経済の衰退を加速し、国と地方の財政も悪くしました。さらに、新型コロナ対応で疲弊した地域経済に、終わらない物価高騰が追い打ちをかけ、住民のくらしとなりわいを直撃しています。ところが、政府の経済対策といえば、細切れの対策ばかりで、内容も規模もまったく不十分です。福岡県の対策も、その枠内にとどまっています。

こうしたなか、「住民福祉の向上」を使命とする地方自治体の姿勢が問われているのではないでしょうか。

地方から、くらし第一の国政改革の声を

消費税について、服部誠太郎知事は、「社会保障の財源として必要なもの」と答弁し、国に対して消費税減税を求めないという立場です。消費税が「社会保障の財源」になるどころか、大企業や富裕層への減税と経済の悪化による直接税の減収の穴埋めに消えてしまい、国の財政はますます悪化している。これが消費税導入から36年間の決算ではありませんか。

また、服部誠太郎知事は、「消費税税率引上げは、全世代型社会保障制度へと大きく転換していくため」と答弁しています。しかし、政府や財界がいう「全世代型社会保障」とは、いまでも貧しい日本の社会保障を、「高齢者優遇だ」と世代間対立をあおり、社会保障全体の削減をすすめようとするものです。社会保障財源が足りないのは、高齢者が増えたからではありません。アメリカいいなりの大軍拡、富裕層・大企業優遇の減税、大企業の大もうけのための不要不急の大型開発、特定企業への兆単位の巨額補助金ばらまきなどのタガが外れた「放漫財政」をエスカレートさせているからです。また、現役世代が社会保障を支えられなくしている原因は、低賃金のワーキングプアを広げ、固定化しているからです。

服部誠太郎知事は、昨年末の記者会見で、県政の課題として、「地方部、郡部の人口減少対策」「賃上げの継続的な実現」「災害への備え、被災地域の復旧・復興」の3点をあげ、「このような課題から逃げることなく真正面から取り組んでいくことが私の責任」とのべています。こうした課題を本気で解決しようとすれば、地方からあらゆる分野で国政の改革を迫る必要があります。

国に対して、中小企業が大幅賃上げをできる支援、消費税の緊急減税、物価上昇にみあう年金の引き上げ、社会保障の負担軽減とケア労働者の処遇改善、教育費負担の軽減と無償化、農業を基幹産業として支援すること、そして、地方自治体に対して住民の命とくらしを守り、地域再生のとりくみに必要な財源を保障することなどをおおいに求めようではありませんか。そのためにも、国に対して、大企業・富裕層へのゆきすぎた減税や特定大企業への巨額の補助金のばらまきを見直し、アメリカいいなりの大軍拡を中止して、財源を生み出す税・財政の改革を求めようではありませんか。

「住民福祉の向上」へ、積極的な独自施策を

そして、国がどうであれ、「住民福祉の向上」を使命とする県自身が、積極的に独自施策を行わなければなりません。この数年、住民の苦難を前にして、「逃げることなく真正面から」独自施策にふみだす自治体が大きく広がっています。

岩手県は、物価の上昇ペースに賃金の上昇が追いついていない県内の中小企業が多いことから、賃上げ支援の必要があるとして、「時給60円以上引き上げた中小企業に、従業員1人あたり6万円(最大50人分)」補助する補正予算を決めました。時給60円のアップは、フルタイムなら年額およそ11万5200円の賃上げです。

深刻な「ケア崩壊」状態が広がる実態を前にして、奨学金返済支援や家賃補助など、ケア労働者の暮らしへの直接支援をする自治体も、県内外に広がっています。18歳年度末までの医療費を助成する市区町村の割合は、通院で84%、入院で86%と大きく広がっています(2024年4月1日現在)。学校給食の無償化では、東京都、和歌山県が、無償化を実施する区市町村に半額を補助しています。青森県は、都道府県単位での一律無償化としては全国初めて、県内すべての小中学校の給食費を無償化しています。

「無償化」することで、国や自治体の責任で「給食の質の改善」をすすめる契機にすることについても、先進的なとりくみがあります。千葉県いすみ市は、有機栽培米を再生産できる金額で買い取る補償をして、全量オーガニック米の学校給食を実現しています。

沖縄県は、「子どもの将来がその生まれ育った環境で左右されることのない」ことを掲げて成立した「子どもの貧困対策法」をふまえ、市町村と協力して全国で唯一、独自の実態調査を行ない、それを踏まえた実効ある対策と計画を具体化しています。そして、計画の結果や進捗を公表し、当事者や支援団体の協力も得ながら、貧困の解決のための体制や基金を準備するなど、県をあげてとりくんでいます

服部誠太郎知事は、昨年末の定例会見で、福岡市が学校給食費の無償化の方針を打ち出したことについて、「県が主体となって無償化する考えはないか」と問われ、「自治体間の財政力によって地域間に格差が生まれるということは望ましくない」として、国に「要望している」、野党が無償化法案を提出している通常国会の議論を「注視していきたい」とのべるにとどまりました。知事は、県が学校給食を無償化すれば多額の費用が必要として消極的です。しかし、青森県なみの予算規模を組めば、無償化のための市町村負担の半分を県で負担することができます。

福岡県でも「逃げることなく真正面から」やろうじゃありませんか。

なぜ福岡県で、こうした県独自の積極的な施策ができないのでしょうか。私たちは、福岡県に財源がないからではなく、不要不急の大型開発、大企業への補助金の大盤ぶるまいが優先され、エスカレートしているからだとみています。

国・県・北九州市は、「三ない道路」(危ない、要らない、もと取れない)、「安部・麻生忖度道路」とよばれる下関北九州道路を、最優先課題として推進しています。「災害時の代替路」といいながら、小倉東断層の真上につくる。関門橋・関門トンネルの渋滞を過大にあおり、下関市・北九州市の「両都心間は8分間短縮」のために3500億円を投じる(4年前の試算で、資材費の高騰だけでも1・5倍)。国土交通省も、人口減少や免許保有者の減少などで、今後、交通量は減少すると予測しており、通行料では採算がとれず、赤字となり、公費での補填、つまり、県民に負担が強いられることは避けられません。3500億円でも、福岡県内で過去最大の大型事業です。こんな子や孫の代にまで借金をかぶせる、時代錯誤の大型事業はきっぱり中止すべきです。

中小企業優先の産業政策こそ

福岡県では、企業の新規立地や設備投資を促進するためとして設けている、補助金や税の優遇など、さまざまな優遇制度をさらに拡大しています。たとえば、製造業や特定業務施設の新設・増設に対して適用される「福岡県企業立地促進交付金(補助金)」(助成率は投資額の10%)の限度額を、2024年4月から10億円から50億円に引き上げています。こうした優遇制度を利用できるのは、巨額の設備投資ができる大企業や今現在「稼いでいる企業」だけです。そもそも、半導体を必要としている電機、自動車などの大企業は、500数十兆円もの内部留保を有するのですから、そうした民間企業の「自己責任」で投資すべき話ではありませんか。

服部誠太郎県政の産業政策は、まるで特定の大企業のマネージャーであるかのような姿勢です。これでいいのでしょうか。中小企業は、雇用や地域経済を支える「主役」――欧州連合(EU)は、そうした立場で、「スモールファースト(Small First)」=中小企業優先の産業政策を実行しています。これぞ、地方自治体のあるべき産業政策ではないでしょうか。

昨年、日産自動車、トヨタ自動車が、公正取引委員会から下請法違反で勧告をうけるなど、自動車産業で、悪質な下請けいじめが相次いで発覚しました。

服部誠太郎知事は、「2023年の2月、県内の官民労13団体の皆さんと価格転嫁の円滑化に関する協定を結び、街頭啓発を行い、適正な価格転嫁の必要性を広く、県民の皆様方のご理解をいただくようによびかけた」とのことです。しかし、これでは足りません。何よりも、大企業、元請け企業に適正な下請け単価を支払わせることが必要で、そのためには、国に下請検査官の抜本的な増員を求めなければなりません。

そして、何よりも県自身が「公契約条例」をつくり、範をしめさなければなりません。これは、県が発注する工事や業務に従事する労働者に、最低賃金を大きく上回る賃金の下限を定め、設計労務単価の引き上げ分を反映する賃金を支払うことを義務付け、その分の賃上げができる代金を県が支払う制度です。

中小企業の価格転嫁問題は、上記のような企業間取引の問題とともに、消費者への販売価格への転嫁の問題があります。中小企業が必要な販売価格の引き上げができるようにするには、消費者のフトコロをあたためなければなりません。県独自にも、歳出を見直し、県民の可処分所得を増やすためのあらゆる施策を実行すべきです。

また、地域経済を元気にし、人口の定着をすすめるには、地域に根差した産業こそ応援すべきです。農林水産業や中小・小規模事業者を支え、いまやもっとも多くの人を雇用している医療・介護・福祉・保育などのケア労働者の処遇改善を支援することは、人手不足の解消、県内どこでも働き続けられる雇用を生み、地域経済に大きく持続的な波及効果を生みます。

たとえば、お金が有り余る大企業への補助金を1社40億円も増やすのなら、地元の仕事おこしの実効ある施策、地元事業者限定の住宅リフォーム助成制度を実行すべきです。北九州市ではかつて、「住まい向上リフォーム」事業で2億円の予算で40億円の仕事をつくった実績があります。佐賀市では、空き家を購入して自ら居住を開始する予定の方に、リフォーム費用の一部を助成する制度があり、空き家の有効活用と定住促進が進められています。

2、戦後・被ばく80周年、福岡県を平和の発信地、平和の拠点に

平和の問題では、服部誠太郎県政はどうでしょうか。自民・公明政権による立憲主義破壊の安保法制と「安保3文書」にもとづく、福岡県を出撃拠点にし、県民を戦火にさらす動きに対して、モノを言わないという立場です。これでいいのでしょうか。

住民の安全・安心こそ、自治体の責務

この間の福岡県における「戦争する国づくり」の動きを列挙します。

  • 航空自衛隊築城基地の米軍基地化。目的は、在沖米軍基地が攻撃されてつかえなくなったときに、あらゆる米軍機がいつでも出撃できる拠点とすること。その築城基地をつかった日米共同訓練は、毎年行われ、やるたびに規模が拡大し、1回に200人もの米兵がきています。
  • 核攻撃にも耐えて自衛隊がたたかい続ける「継戦能力」の確保のために、県内の主要な自衛隊基地の司令部を地下化するなどの「基地強靭化」。
  • 2024年1月、「重要土地利用規制法」によって、県内の基地の周囲1キロメートルの区域が「特別注視区域」「注視区域」に指定され、土地・建物の利用者、住民が監視対象に。
  • 2024年4月、北九州空港(管理者:国土交通省)と博多港(管理者:福岡市)が軍事利用推進のための「特定利用空港・港湾」に選定。
  • 2024年10月、台湾有事で安保法制を発動して自衛隊が参戦するという想定での大規模な日米共同の実働統合演習のなかで、福岡県内の基地や民間空港(北九州空港・福岡空港)を出撃拠点、後方支援拠点とする訓練が行われた。
  • 2024年11月、日米韓共同訓練の一環で、米海軍のオスプレイが福岡空港に午前4機、午後2機、初飛来。政府から県と福岡市に正式な連絡があったのは、福岡空港飛来30分前。上空を飛んだ久留米市、糸島市、大刀洗町、朝倉市、うきは市、上毛町、豊前市、東峰村、那珂川市、春日市、大野城市、太宰府市、筑紫野市、小郡市には、まったく連絡なし。

他の県は、こうした国の動きに、住民の安全・安心の立場からモノを言っています。

たとえば、北九州空港と博多港を軍事利用する「特定利用空港・港湾」選定は、法的強制力がない閣議決定ですから、国も施設管理者や所在自治体の意向を無視しておしつけないという姿勢でした。ところが、3月末に国が打診してきた際、県はすぐに受け入れ、国の説明からわずか1週間程度で「選定」されました。一方、国が管理者の空港であっても、沖縄県や鹿児島県などは「国の説明不足」を理由にすぐ受け入れず、「選定」は8月になりました。

近年、九州・沖縄の民間空港に、米軍機が事前の届けなしに、直前の連絡で着陸することが相次いでいます。オスプレイの福岡空港飛来では、駐日米大使と日本のメディアをのせて東シナ海の米空母まで運んでおり、早くから計画していたことは明らかです。しかし、国土交通省福岡空港事務所は、事前の使用届けも定期便との調整もなかったといいます。福岡空港は米軍板付基地だとわがもの顔の米軍と、それに何も言えない日本政府の姿勢が浮き彫りになりました。

オスプレイは、重大事故が多発してたびたび飛行停止になる、文字通りの「欠陥機」です。それが、事故原因も不明で、再発防止策もないまま、九州一の人口密集地の福岡都市圏上空を飛行したのです。ところが、福岡県は、国からの連絡が福岡空港着陸直前だったことや上空を飛んだ市町村に連絡さえしていないことに抗議もしていないし、国からのていねいな説明さえ求めていません。沖縄県だけでなく、鹿児島県や宮崎県、佐賀県も、「住民の安心・安全」の立場から、少なくとも情報提供やていねいな説明を国に強く求め、「住宅地上空は飛ばないでくれ」と繰り返し求めています。

もはや、「防衛問題は国の専管事項」(服部誠太郎知事)という思考停止は許されません。そもそも「安保・防衛は国の専管事項だから、地方は意見を言えない」という法的根拠はありません。安保・防衛は国の所管ではありますが、住民の安心・安全を守ることは地方自治体の最大の責務ではありませんか。

ノーベル平和賞受賞式で講演した被団協代表委員の田中煕巳(てるみ)さんは、「『核抑止』『核共有』の考え方は間違っている」「(核兵器で)脅かすんじゃなくて、やっぱり話し合いをしてほしい。日本はそのために努力しなくちゃいけない」と語り、何度でも石破首相と議論したいと語っています。広島、長崎の知事や市長は、国に対して、核抑止論の放棄と核兵器禁止条約参加を繰り返し迫っています。

沖縄県の玉城デニー知事は、「米軍基地が集中していることに加え、自衛隊の急激な基地機能強化により沖縄が攻撃目標になるリスクをさらに高める事態を生じさせてはならない」(2023年2月議会)と表明し、「平和的な外交・対話による緊張緩和と信頼醸成」を政府にもとめました。また、「21世紀の万国津梁(世界の架け橋)」を目指し、県の地域外交を本格スタートしています。

東アジアの緊張を高め、県民に戦争と隣り合わせの生活と大きな負担を強いる軍事一辺倒の動きに反対し、憲法9条を生かした外交で平和を築くことを求める県政にしようではありませんか。県として、国連憲章と国際法にもとづき、ガザでのジェノサイドの即時中止、ウクライナ戦争の「公正な和平」による終結を求めていこうではありませんか。

「非核平和宣言」を発し、県独自の平和推進活動を

福岡県には、広島、長崎に次いで被爆者が多く在住しています。福岡県は、戦前、アジアへの侵略戦争の出撃拠点だったため、激しい空襲を受けました。福岡県には、近隣の国々への侵略と植民地支配の歴史が深く刻まれています。そしていまは、東アジアの国々との人的・経済的な交流がもっとも活発な県となっています。それだけに、県民の平和への思いは強く、草の根の平和運動や自治体ぐるみの平和推進活動が広がっています。1980年代には、福岡県内では多くの市町村が「非核平和自治体宣言」を行い、その数は全国トップの49に達しました。

日本被団協のノーベル平和賞受賞をうけて、戦後80周年・被爆80周年にあたり、戦争と核兵器の惨禍を繰り返さない決意を次世代に伝え、県民とともに核兵器のない平和な社会を築くために、県政として次のようなことを実行してはどうでしょうか。

  • あらためて「福岡県非核平和宣言」を発する。
  • 日本政府に対して、「核兵器禁止条約」の署名・批准を求める。
  • 日本非核宣言自治体協議会に参加し、積極的に行動する。
  • 毎年、広島、長崎の平和祈念式典に県の代表が参加して、8月15日には「福岡県平和メッセージ」を国内外に発する。
  • 「県立平和ミュージアム」の開館をめざし、まず、デジタルミユージアムを開館し、すべての市町村にある戦争資料の保存と整理、公開を行う。
  • 県内に核兵器を持ちこませない法的拘束力を持つ非核条例をつくる。
  • 日本政府も賛同しているAOIP(ASEANインド太平洋)構想を実現する世論を東アジアサミット参加国の国民のなかに醸成するため、各国の自治体によびかけて市民の対話と交流の機会をつくり、積み重ねる。
  • 以上のことを推進するために、平和推進課(平和推進室・基地対策室)をつくる。

ごいっしょに、新しい県政をつくりましょう

私たちは、今回の県知事選挙にあたって、県民のみなさんに、「重点政策・案」と「マニフェスト・案」を提案しています。「案」としているのは、県民のみなさんから、要求や提案を広く募集し、ともに新しい県政をつくっていきたいからです。そのために、「私の願いアンケート」(ネットと紙)を実施し、みなさんからのご意見をもとに、毎週「マニフェスト」を更新していきます。

さいごに、私たちの政策や提案をごらんいただき、ご賛同いただけるみなさん。ボランティア、SNSでの拡散、募金など、みなさんができることでご協力くださいますよう心よりお願いいたします。

みなさんの声をお聞かせください