米・イスラエルのイラン攻撃の影響から生活と営業を守る緊急対策を県知事に要請しました
日本共産党福岡県委員会と大谷しんこ党県安心の医療・くらし運動センター長は5月14日、米国・イスラエルによるイラン攻撃の影響から生活と営業を守る緊急対策の要請を服部県知事あてに申し入れました。
福岡県知事 服部 誠太郎 殿
2026年5月14日
日本共産党福岡県委員会
委員長 内田 裕
委員長代理 真島 省三(元県議会議員)
安心の医療・くらし運動センター長 大谷 真子
米国・イスラエルによるイラン攻撃の影響から生活と営業を守る緊急対策の要請
米国・イスラエルによるイラン攻撃に端を発したホルムズ海峡封鎖の影響が、医療機関や介護事業所、中小業者や農家の経営を圧迫し、県民生活も追いつめています。
日本共産党国会議員団が3、4月に行った「イラン攻撃下の国民生活アンケート」では、約3割が「価格高騰や入手困難などすでに影響が生じている」、7割が「今後が不安」で、自由記述欄に切実な声があふれました。ガソリン・燃料価格の高騰だけでなく、「製造で使用するナイロン製袋が入手できない。在庫が切れる5月以降、生産のめどが立たない」など、石油由来の資材全体について供給の先行きが心配されています。
私たちは、4月27日に福岡県建設労働組合(福建労)、同28日に福岡県商工団体連合会(福商連)、5月12日に福岡県民主医療機関連合会(福岡県民医連)から聞き取りを行いました。「塗装用のシンナーが手に入らず、ネットで購入しようとしたが、以前1万円だったものが27万円になっていた」「資材が入ってこないと売り上げがゼロになり、事業が続けられない。コロナ禍でも資材がなかったが、仕事もなかった。今回は、仕事の依頼があっても資材がなくて仕事ができない」「多くの医療機関には医療資材の在庫は数日分しかない。『止まると命に直結する医療資材』の不足が深刻化すれば、現場ではコロナ禍のような“命の選別”が迫られることになる」「この間の物価高騰ですでに6割が赤字の医療機関には、いまの公定価格では資材価格の高騰を吸収できない」「介護は小規模な事業者がほとんどで余力がない。医療・衛生資材の不足とコスト増大は事業の存続にかかわる事態だ」 等々の現場の悲痛な声が相次いで出されました。
県内の建設業者や中小業者も、医療機関や介護事業所も、資材の値上がりや供給制限、受注停止などにより経営が圧迫され、コロナ禍以上の災害級の苦境に立たされており、政府と県には経営危機打開の実効ある支援策を早急に実施することが求められています。
以上の深刻な実態をふまえて要請します。
【要請項目】
1 国民の命のインフラ、医療機関や介護事業所を守りぬく対策を
医療現場では、「命に直結する医療資材」の不足と値上がりで、「透析や医療器具、消毒用品が不足すれば、治療そのものができなくなる」と切実です。とりわけ、公定価格で経営している医療機関は、透析用人工腎臓、点滴用のチューブ、医療用グローブや人工透析に必要な器具など資材が不足し、高騰した価格を転嫁できず苦しい状況になっています。政府は「ただちに供給が滞ることはない」という姿勢ですが、「命に直結する医療資材」は不足してからでは遅すぎるのです。
資材不足が深刻化すれば、現場は最終的に、どの手術を延期するか、どの患者を優先するか、誰を優先して資材をつかうか、という判断が迫られます。つまり、医療機関が「命に優先順位」をつけざるを得なくなります。これは、現場の責任ではなく、政治の責任です。医療従事者に、コロナ禍のときのように、どの患者を後回しにするか、「命の選別」を政治の無策で押し付けてはなりません。
介護現場では、近年、「痰の吸引」「床ずれの管理」「感染症対策」など医療対応場面が増加しています。いま、「使い捨てグローブ」や「使い捨てエプロン」などの消耗品の入手の困難が顕著となり、医療資材の不足が波及し、今後の確保への不安もつよまっています。
- 県として、医療資材危機管理対策本部をたちあげ、どの資材がどこで不足し、どの地域が危険か、どの診療機能が止まり得るか、リアルタイムで実態をしっかり把握し、地域単位で医療機関相互に医療資材を融通するネットワークをつくることを求めます。とくに、手術用手袋、透析回路、減菌関連資材、ICU関連ディスポ製品、酸素関連消耗品など「止まると命に直結する医療資材を重点管理対象にすること。
多くの医療機関は、経営維持のために自動で発注して補充するシステムになっており、在庫は数日分しかなく、現場にはつよい危機感があります。「相談受付」では間に合いません。コロナ禍のときには、国公立病院間で融通が行われました。 - 県として、政府に対して、医療機関や介護事業所に対する緊急の財政支援を行なうよう求めるとともに、県独自にも緊急の財政支援を行なうことを求めます。緊急補助金、光熱費支援、医療資材価格高騰補填、物流費補填を即時実施することを求めます。とくに、急性期病院、透析医療、救急医療は打撃が大きく対応を急いでください。
「診療報酬改定で対応済み」という姿勢では到底追いつきません。資材価格高騰は、公定価格では吸収できません。
介護分野では、物価高騰のなかでの2024年4月の訪問介護報酬引き下げが経営を圧迫し、人手不足が深刻化して事業所の倒産・廃止が相次いでいます。医療・衛生資材の不足とコスト増大は「介護インフラの崩壊」をいっそう加速することになります。 - 県として、政府に対して、国の責任で医療資材を備蓄する制度を創設・拡充するよう求めること。現在の備蓄は感染症前提が中心で、慢性的な医療供給危機には対応できません。また、政府に対して、国の責任で卸・メーカー在庫の報告義務、不当価格監視、緊急時の流通統制、優先供給命令を可能にする制度をつくるよう求めること。
弱肉強食の市場まかせでは、すでに在庫の抱え込みと高値転売、買い占めが発生しています。
2 県内雇用の8割を支える中小業者の営業を守る緊急対策
全国商工団体連合会(全商連)が3月20日から4月20日に実施した中小業者への緊急調査では、福岡県内の業者の7割が「影響あり」と回答し、「資材高騰」「調達困難」が5~6割以上を占めています。コロナ禍では、財政的な援助で何とか乗り越えることができましたが、今回は「ものが入手できない。いつ入るのか見込みがたたない」ので、仕事も請けられず、先の見通しもたたないという困難さがあります。
福岡県商工団体連合会(福商連)での聞き取りでは、「シンナーや溶剤などの資材の仕入れ先を探し続けている。入手・確保ができなければ受注もできず仕事ができない。資材販売先をみつけても大手が買い占めているのか、すぐに売り切れている。また、数量制限、価格高騰で思うように確保できない」(福岡市の塗装業)という深刻な声がありました。福岡県建設労働組合(福建労)の聞き取りでは、「卸業者から、接着剤、断熱材、床材などの資材の値上げや供給制限、受注停止の連絡がきている。塗装につかうシンナーが50~70%値上がりしている」「建設業者の標準労働費を決めたが、資材費が上がっているので日雇いの賃金が減っている」との声がありました。
ホルムズ海峡をめぐる情勢は先行きが不透明なままであり、この状況はさらに悪化することが考えられます。地域経済を支える中小企業がいままさに廃業・倒産の危機にあります。
- 県として、緊急経済対策本部をたちあげ、業者団体、業界団体からの聞き取りを行うとともに、市町村とも協力してすべての中小業者の苦境をしっかり把握し、経営危機打開の実効ある対策を絶対に後手にならないように迅速に講じること。
- 県として、政府に対して、▽各種税金の納付猶予・免除、▽ガソリンなどへの直接支援、固定費補助、▽石油由来の資材の供給不足解消、▽減収した事業者への持続化給付金、▽資金繰り支援、▽雇用調整助成金拡充、生活福祉資金特例貸付と同様の制度の実施を求めること。
融資だけの支援ではもう間に合いません。物が入らず現場、製造が止まる状況は、オイルショックやコロナ禍のときとは違います。いま動き始めないと間に合いません。中小・小規模事業者のみなさんからは、「せめてコロナ禍に行われた支援策を」との切実な声に、政府も県も応えるべきです。
いま、物価全体を下げる最も効果的な対策である消費税減税を求める声はますます強まっています。福岡県建設労働組合(福建労)の聞き取りでは、「消費税が払えず、取引先に取引停止を宣告され、倒産した業者がいる」という声がありました。ところが、高市早苗政権は、日本共産党などを排除した特定政党だけの「国民会議」に消費税をめぐる議論を丸投げしてしまいました。県としても、国会の正規の機関で消費税減税の議論を始めるよう政府に求めていただきたい。
5月11日の全国中小企業団体連絡会(全中連)などの要請に対して、政府側は「コロナ禍は政府が人流抑制をしたので給付金を支給した。現時点での支給は難しいが、相談窓口で情報を共有している」と現場の窮状がみえていません。コロナ禍で大きな影響を受けたのは宿泊業や飲食業が中心でしたが、今回は、製造・建設など産業別就業者数でみても広範囲に及んでおり、地域経済への打撃を考えても早急な支援が必要です。 - 県独自にも、燃料・光熱費・材料費等の高騰への直接支援、税金や国民健康保険料の納付猶予・減免、減収した事業者への持続化給付金、家賃など固定費への支援、無利子無担保の融資などの資金繰り支援を行なうことを求めます。
福岡県建設労働組合(福建労)の聞き取りでは、「コロナ時の貸付の返済が昨年始まったばかりで終わっていない。持続化給付金のような直接支援をしてほしい」との声がありました。売り上げが落ちた中小業者にはセーフティネット貸付だけではもう間に合いません。
福岡県商工団体連合会(福商連)での聞き取りでは、コロナ禍でうけた「ゼロゼロ融資」の返済時期になっているが支払いが困難になっており、「国民健康保険料の減免措置を受けると融資をストップされる仕組みをなんとかしてほしい」との声がありました。このこともあわせて要望します。 - 県として、政府に対して、国の責任で資材メーカーなどの供給元の在庫の抱え込みや不当価格を監視し、中小業者にも供給を保障するよう行政指導を行うよう求めること。
3 食料の安定供給を支える農業の持続のための対策
県内の農家に聞くと、中東情勢の緊迫化をうけ、資材メーカーでは原料不足による欠品や出荷蔓延、値上げなどが広がっています。JA全中の調査(4月1~10日)によると、肥料は秋肥の値上げが予定されており、備蓄ができない尿素は値上げ幅が大きくなる予定です。資料の船賃の高騰、円安の影響に懸念の声がありました。マルチや農業用ビニールなど石油由来のナフサを原料とする農業資材は、欠品や納期の遅延、購入制限や受注停止が発生しています。それによって、ハウスのビニール張り替えの見送りや、資材再利用の取り組みも出ています。流通・加工では、燃油や光熱費、包装素材の高騰による採算悪化の懸念が広がっています。燃油高騰で輸送コストも増大し、出荷先を変更するケースや海上、航空運賃などの高騰で輸出数量の減少や中止も一部で生じています。
ところが、4月24日に政府が開いた中東情勢に対応するための関係閣僚会議で農水省は、「当座、受注を受けた分は供給できるめどが立っている」と説明し、当面は不足する事態にないとして、産地に冷静な対応をよびかけています。現場への影響を直視せず、支援策を検討もしない農水省に対して、県内の農家から怒りの声を耳にしています。
これ以上の離農、廃業を絶対に生まないために、次のことを求めます。
- 県として、政府に対して、原油・ナフサなどの価格高騰や不足や価格高騰による農業生産への影響を明らかにし、燃油、肥料、飼料、農業資材、農機具などに関して、後手とならないよう従来の政策枠組みにこだわらない実効ある支援策を打ち出すよう求めること。
- 県として、国の対応の様子見ではなく、現場の困難や不安をしっかりみて、実効ある支援策を早急に実施することを求めます。
4 県独自の緊急の生活支援として中小企業への賃上げ支援を行うこと
中東情勢の影響が物価をさらに押し上げており、とくに、県内の労働者の8割(全国は7割)が働く中小企業では賃金の上昇がますます追いつかなくなっています。
ところが、国の中小企業の賃上げ支援策は、県内のほとんどの中小企業には届いていません。政府は、2013年以来、賃上げした企業の税金を安くする「賃上げ減税」を実施してきましたが、黒字企業しか対象にならない直接支援です。赤字企業が多い中小企業では、支援を受けた企業の割合は過去10年間の平均で4%程度にすぎません。
そうしたなかで、岩手県は、物価の上昇ペースに賃金の上昇が追いついていない県内の中小企業が多いことから、賃上げ支援の必要があるとして、「時給60円以上引き上げた中小企業に、従業員1人あたり6万円(最大50人分)」補助する補正予算を決定しています。時給60円アップは、フルタイムなら年額およそ10万8000円の賃上げになり(月150時間で計算)、最低賃金だと6%の賃上げです。
県として、岩手県なみの中小企業への賃上げ支援を緊急に実施することを求めます。
5 県の財政調整基金等を積極的に活用し、くらしと営業への緊急支援策を早急に
福岡県は、財政調整基金等三基金(財政調整基金、減債基金の一般会計分及び公共施設整備基金)を、2019年度~20年度に新型コロナウイルス対策費などで当時の残高の約3割にあたる約100億円余を取り崩しましたが、24年度末決算残高は19年度末の残高約356億円から731億円と倍になっています。また、「福岡県財政改革プラン2022」(2026年度までの計画)の24年度末の三基金残高「見通し」485億円と比べても、実際の残高は246億円も上回っています。
背景に、24年度県税収入8074億円(速報値)が23年度比573億円増で、4年連続過去最高を更新する見込みで、法人二税はこれまでで最高のバブル期の1991年度を更新する見込みであるとのことです。異常円安による物価高で県民と内需型産業、中小企業が苦しんでいる一方で、輸出型大企業が史上空前の利益をあげています。
財政調整基金等三基金は、経済の急変による税収減や災害発生時の緊急的な支出などに対応するための「県の貯金」です。いまこそ、積みあがった同基金を積極的に活用して、目の前で苦しんでいる県民と医療・介護、中小企業、農業者を守るよう強く求めます。
6 県として、政府に対して、戦争を止める外交努力をもとめること
福岡県建設労働組合(福建労)、福岡県商工団体連合会(福商連)、福岡県民主医療機関連合会(福岡県民医連)からの聞き取りでは、「いつになったら状況が改善するのか、先行きがまったくみえないのが一番不安」との声が共通していました。また、日本共産党国会議員団が3、4月に行った「イラン攻撃下の国民生活アンケート」でも、政治への要望のうち、「外交・停戦・交渉」が最も多い約6割を占めました。
当然ですが、外交で戦争を止めることと、命とくらしを守る対策を一体に進める必要があります。戦争を止めなければ、県民のくらしも営業も守れません。
県として、日本政府に対して、米国、イラン双方に、終戦に向けた外交交渉の再開を働きかけること、とくに米国に対しては、国際法違反のイラン攻撃の停止と再攻撃しない保証、ホルムズ海峡の封鎖中止を求めるよう要請してください。
以上






