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2011年12月22日(木)

東芝北九州工場の閉鎖問題等をめぐるたたかい

日本共産党福岡県委員会県政対策委員会責任者 真島 省三

東芝北九州工場の門前で宣伝する党議員ら(12月22日)

東芝北九州工場の門前で宣伝する党議員ら(12月22日)

東芝が発表した半導体事業再編計画=リストラ計画の概要

11月30日に東芝が発表した計画は、「単機能半導体の国内拠点6ヶ所を3ヶ所に集約し、付加価値の高い製品の製造に経営資源を集中して、競争力の強化を図る」というものです。東芝は、その理由を1ドル=77円台前後という歴史的水準の超円高を背景に、新興国などとの価格競争力が低下したためとしています。

2012年度上半期に閉鎖すると発表した3工場とは、東芝北九州工場(北九州市小倉北区下到津、従業員530人)、子会社の浜岡東芝エレクトロニクス(静岡県御前崎市、従業員100人)と東芝コンポーネンツ(千葉県茂原市、従業員約570人)で、従業員1,200人は東芝グループ内で異動させ、非正規社員は契約更新しないと言います。

北九州工場のLEDランプの生産は半減して子会社の加賀東芝エレクトロニクスに移し、組立技術の開発部門は子会社の豊前東芝エレクトロニクスに集約し、同部門の約100名は豊前に配転します。しかし、「豊前」の方では、一部製品の生産を海外移転し、光センサーの製造をとりやめ、パソコンなどに使われるLEDランプの生産も縮小すると言うのです。豊前東芝の正社員は「800人体制を維持する」と言うのですが、北九州からの100名の配転を受け入れるのですから、現在働く正社員を100名程度減らすことになります。また、大分工場では、生産ラインを縮小、海外へ移管し、正社員約2,500人のうち約500人を配転する計画です。

雇用と地域経済への社会的責任をかえりみない東芝の身勝手さ

① 雇用と地域経済への影響は深刻。厳しく問われる社会的責任。

東芝は、2008年のリーマンショックによる世界的な景気悪化で、北部九州の半導体生産を大幅に縮小し、北九州工場では主力のアナログIC部門を大分工場に移管。その際、従業員1,300人は、配転などにより約530人に減少しており、現在北九州工場に残っている従業員は、配転に応じられない家族的な事情(育児・介護、配偶者の就業場所)がある労働者ばかりであると言われています。少なくない労働者が、希望しない「希望退職」か、家族がバラバラになるかの選択を迫られます。

東芝は、非正規社員についていまだに人数さえ公表しておりませんが、「更新しない」と非正規切りだけは公言しています。くわえて、北九州工場の市内の取引企業は約80社、県内で約160社もあります。90年以上操業してきただけに関連企業の裾野は広く、地域経済への影響ははかり知れません。

大企業の身勝手な生産拠点の撤退は、雇用や地域経済に多大な影響を与えます。東芝の有価証券報告書を見ると、東芝の社員の平均給与は約780万円(2011年3月31日現在、有価証券報告書より)で、配転される530人分だと約41億円。この影響だけでも、たいへんです。工場閉鎖の際、経営側と労働組合が話し合って決めるだけでなく、国や地方自治体とも話し合い、意見を聞くべきです。今回の東芝の一方的な撤退表明はあまりにも横暴で無責任です。

② 補助金等の多額の公費支援を受けながら、雇用と地域経済を守らないでいいのか。

東芝北九州工場に対しては、北九州市が2003年度、2005年度に「企業立地促進補助金」として2,000万円を交付。国は「低炭素型雇用創出産業立地推進事業費」として33億円を2009年度、2010年度に交付しています。また、電機業界は、国が7,000億円を投じた家電エコポイントや地デジ化に伴うテレビの買い換えで大もうけしてきました。

さらに自治体は、リーマンショック後の緊急経済対策で推進された公共施設・設備などのLED化で多額の税金を使ってきました。2011年度予算だけでも、福岡県が総額27億2,000万円余、北九州市も総額7億5,700万円余を当てています。

これらの支援は、国の法人税減税、研究開発減税などの大企業優遇減税とあわせて、「国際競争力の強化」、「企業の立地促進」、「雇用の創出」の名の下におこなわれました。国と自治体の多額の支援を受けて大もうけをしてきた企業が、雇用と地域経済を守らないでいいのでしょうか。

③ 1.6兆円の内部留保、売上高が電機業界4位という体力がありながら許されない。

東芝は、大リストラの理由として、1ドル=77円台前後という歴史的水準の超円高を背景に、新興国などとの価格競争力が低下したこと、欧米の景気減速を受けてデジタル家電などの需要が低迷していることなどをあげています。そのような状況があるとしても、1.6兆円の内部留保を持ち、売上高が電機業界4位という体力があります。

工場の閉鎖で労働者は広域配転に応じなければ退職を迫られ、事実上の整理解雇です。「整理解雇」は、それをやらなければ企業が倒産の危機にあるような場合でないと許されません。しかし、東芝は、潰れるような状態ではありません。東芝が北九州工場を閉鎖する目的は、いっそうの利潤追求のためだけであり、許されません。

④ 産業界全体の大リストラ競争(工場閉鎖、海外移転など)の引き金となりかねない。

2008年8月に、製造業トップのトヨタ自動車九州が800人の派遣切りをし、その年の秋のリーマンショック後、堰を切ったように産業界全体に派遣切り、非正規切り競争の嵐が吹き荒れました。異常円高、新興国との競争、欧州の経済危機による需要低迷などには、国内の全産業が苦しんでいます。パナソニックや東芝など、電機業界トップの体力のある大企業が、雇用と地域経済への社会的責任を投げ捨てる大リストラをおこなえば、歯止めが効かなくなります。すべての企業が同じような行動をとることになれば大量の失業者を生み、地域経済、日本経済全体が悪化する悪循環となります。政治が絶対に放置してはいけません。

⑤ 大震災・原発災害による国の危機に際して、大企業が足を引っ張っていいのか。

今、日本は、大震災と原発事故という危機を、日本国民が手を携えて乗り越えようというときです。九州の経済界や自治体も、「元気を西から」を合言葉に、九州から日本経済を牽引し、被災地の復興を支える決意を繰り返し表明してきたのです。こんなときこそ、東芝などの大企業は、雇用を守り、社会に恩返しをすべきです。

県も市も議会も、党派超え「計画撤回」を強く求めている。
国の姿勢が問われる。

①「オール北九州」、「オール福岡県」の様相とわが党の役割

北橋健治・北九州市長は、「従業員や家族を思うと憤りさえ感じる」、「到底承服できない」と批判し、「何としても撤回を求める」と会見で述べ、東芝側にも撤回を要請しました。北九州市議会では、わが党市議団の奮闘で、12月7日、東芝に計画撤回を強く求める決議を全会一致で採択し、同日、東芝に要請しました。小川洋・福岡県知事は、「従業員、家族の生活や関連企業への影響は計り知れず、地域経済に深刻な影響を与えるもので全く遺憾。北九州市などと連携し、再考を求めていく」との談話を発表しました。

ところが、東芝の佐々木則夫社長がようやく小川知事と北橋市長と会ったのは、計画発表から15日も経過した12月15日でした。知事と市長は、東芝本社(東京)で閉鎖撤回を求める要請文を、社長に直接手渡しました。理解を求めた佐々木社長に、北橋市長は「東芝は関連企業や地域と苦楽をともにして繁栄した。どの民間企業も厳しい経営環境は同じで、撤退は納得できない」と語ったと言います。東芝は2012年1月中に今後の対応を回答するということです。会談時間は、わずか30分。だれが考えても本来社長自らが地元に来て説明し、意見を聞くという誠実な対応が社会的な常識であり、地域社会への企業の最低限の責任です。

この間、党福岡県委員会と党北九州市議団は、東芝への申し入れを北九州工場と折衝してきましたが、15日に東芝側から断りの連絡が入りました。その理由は、「結論はプレス発表のとおりであり、それ以上お答えするつもりはない」というもの。この数年間でも、2008年の非正規切りの嵐が吹き荒れた際のトヨタ、日産、安川電機や、2009年の北九州工場撤退を発表した際の旭硝子は、日本共産党の申し入れに丁寧に応対をし、意見交換もおこないました。東芝の横柄さには、企業としての社会的な責任への自覚は微塵も感じられません。

② 政府は、東芝に対して、雇用と地域経済を守る社会的責任を果たすようモノを言え。

党県委員会と門司小倉、京築の両地区委員会、党北九州市議団、党九州・沖縄ブロック事務所は、12月13日に、経済産業省九州経済産業局と厚生労働省福岡労働局に対して、国として県や市と共同して東芝に工場閉鎖等の計画を撤回するよう求めることを申し入れました。

両局の冒頭の答えは、「局としても重く受け止めている」(福岡労働局)、「新興国の追い上げや円高懸念はあったが、我々も様々な支援策を行い、引き続き九州でがんばってほしいと思っていた。東芝はその支援策も活用されていたので、その延長線上で理解していたが、我々もびっくりしている」(九州経済産業局)と、野田首相と同じ「人ごと」のような姿勢です。また、「個々の企業の経営方針にかかわることを言う法的権限はない」(福岡労働局)、「円高、欧米の経済危機、タイの問題等、企業経営は厳しく、本体が倒れたら元も子もない」(九州経済産業局)などの発言や、「(雇用や関連企業、地域経済への影響について)情報収集につとめ、自治体にもお知らせする」と言いながら、実態は東芝からの報告待ちであるなど、国の及び腰が目立ちました。

党側はこうした姿勢を厳しく批判し、「地元自治体や住民と危機感を共有しなさい」、「国は補助金などの多額の税金を使って支援してきたのだから、東芝に強くモノが言える立場にあるし、言う責任がある」と強く迫りました。最後には、「『撤回』を求めている県・市と連携して、雇用の維持のために対応したい」(福岡労働局)、「思いはみなさんといっしょ。真摯に受け止めて、今後どうするか検討したい」(九州経済産業局)と回答しました。

「貧困と格差をなくし、雇用・家計・経済を立て直す」たたかいの緒戦

4中総は、世界経済危機と異常な円高、未曾有の大災害と原発事故が、長期にわたって低迷が続く日本経済への深刻な打撃となっているもとで、「これまでのように、『国際競争力の強化』を口実に、雇用や国内経済を犠牲にして、外需依存の経済政策を続けていては、日本経済の前途はいよいよ閉ざされる」と指摘し、国内需要を喚起させる経済政策、とりわけ大きく減少した国民所得を回復し、家計を応援する政策への抜本的転換の必要性を提起し、雇用のルールの確立などのためにたたかう決意を述べています。

日本共産党福岡県委員会は、このたたかいを、「貧困と格差をなくし、雇用・経済・家計を立て直すたたかい」(4中総)の緒戦と位置づけ、政治的立場の違い、党派の垣根をこえた「一点共同」を全市民に広げ、「閉鎖計画」を撤回させるためにたたかいぬきます。同時に、「99%の国民的連帯の力で、大企業に過剰に蓄積された富を、暮らしと経済に還元させようではありませんか」、「この方向にこそ、日本経済の健全な成長と発展の軌道に乗せる道がある」(4中総)と訴えぬきます。

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