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特集九州北部豪雨 救援活動

2019年5月24日

しんぶん赤旗2019年5月24日

豪雨災害から約2年 日田彦山線いまだ不通(福岡・大分)

災害で長期運休する鉄道路線

鉄路復旧は再生の要

災害で鉄路が長期不通になっている路線が全国で八つあります。その一つ、一昨年7月の九州北部豪雨で被災したJR九州・日田彦山線(ひたひこさんせん)の不通沿線を歩くと、被災地再生の“要”となる公共交通なのに、赤字路線を口実に復旧に背をむけるJRと国への不信の声がうずまいていました。
土石流で流れた石が放置されたままの筑前岩屋駅のホーム

病院通いできず

小倉駅(北九州市)と日田駅(大分県日田市)を結ぶ日田彦山線は、久大本線や日豊本線などと連動する九州内陸部を結ぶ鉄路です。そのうち、不通になっているのは添田駅(福岡県添田町)―日田駅間で、JR九州が1日数本の代替バスを運行しています。

県道を使って豪雨被害箇所を回ると、いたるところで工事のコーンが置かれ、土石流で運ばれた大きな石や砂利を重機で取り除く作業が川沿いで続いています。一方、鉄道が不通の線路は雑草が茂り、土砂で埋まったままです。

筑前岩屋駅、大行司駅、宝珠山駅という三つの不通駅を抱える福岡県東峰村。澁谷博昭村長は、「決壊した道路は1週間で復旧した。電気や電話も早々に復旧した。なのに、同じインフラのJRは2年たつのに復旧工事をしていない。おかしい。『JRは民間なので』というなら、国が災害復旧として支援すべきだ」と話します。

添田駅など四つの不通駅がある添田町の寺西明男町長も、「災害で崩れた鉄道を復旧するのがJRの責任であり、国の責任です。水道や電気と同じ生活インフラです。鉄道の長期不通は病院通いができなくなるなど住民の命にかかわることです」と訴えます。

被災した5つの橋添田町深倉地区にすむ86歳女性は、不通が続く彦山駅を利用して病院通いをしていました。「JRは早く復旧してほしい。車の運転が危ないと2年前に免許を返納した。1日1回しかこない代替バスは使えない。タクシーを使うと6,000円かかる」と話します。

農業復興も遅れ

「JR九州が復旧工事に背をむけ続けることは、病院通いなどの住民の足が奪われただけでなく、水害にあった農業の復興、田んぼの再整備にも深刻な遅れをもたらしている」

こう話すのは、大分県日田市で、農地の維持管理ができる広域営農組織として発足した「大肥郷ふるさと農業振興会」の組合長さんです。JR九州の方針が決まらないため、農業用水をひく大肥川の復旧工事と農地の再整備ができないままです。

組合長は「この1年間、生産ができないため、固定経費はかかるが収入がない。とくに兼業農家はコメが作れない農地・農業への意欲・愛着が薄れていく。この地域の農業は鉄路が復旧しないと、ことしから来年が正念場になる」と危惧します。

地元に責任転嫁

河川の砂防工事の様子なぜ、JR九州は復旧工事をしないのか。JR側は、大分、福岡の両知事と不通箇所の3首長で復旧の方策を検討するとした「日田彦山線復旧会議」を隠れみののように使っています。早期復旧を主張する首長にたいし、「赤字の負担」を被災自治体に求めて平行線のまま2年間が過ぎました。JR側は4回目会合(4月23日)で三つの案を提示しました。

  1. 鉄道での復旧の場合、軌道整備56億円のうち、4分の1を国、4分の1を自治体、残りをJRが負担。同時に赤字運行なので、毎年1・6億円を地元負担でお願いする
  2. 一般道の利用とトンネルを専用道路にかえてバスで運行する
  3. 不通となっている添田駅―日田駅間を代替バスで運行する

東峰村の澁谷村長は、「鉄道での復旧は当然で、地元負担は筋違いだ」と話し、寺西町長は次のように批判します。

「JR九州が経営をからめて復旧しないのは理不尽なことです。JR九州の言い分は、公共交通機関を担うものというより、もうけを第一にする企業経営の視点だけです。天災で被災した自治体と住民に新たな負担を強いる理不尽な案に憤りを感じます。JR九州側は口にしませんが、赤字路線をこの際廃線にしようという意図がみえます」

両氏とも指摘するのは、JR九州が完全民営化させる際の衆参両院・国土交通委員会での青柳俊彦社長の言明です。

青柳社長は、「九州の鉄道ネットワークの維持は当社にとって重要な役割。上場後も鉄道ネットワークを維持するためにも、引き続き防災の取り組みを着実に進める」(2015年5月13日)と答弁していました。

澁谷村長は「JR九州は青柳社長の言明をきちんと実行してくださいといいたい。国は指導すべきです。JR九州は鉄道単体で260億円の黒字、不動産をいれると500億円をこえる利益をあげています。税金である経営安定化基金を3377億円もらっている」と強調します。

インフラ JR九州と国に責任 「赤字路線切り捨て」の意図も

“地方創生”と逆

「JRは公共交通機関として、早期に復旧せよ」。日本共産党の仁比聡平参院議員、田村貴昭衆院議員や地方議員は、豪雨災害直後から現地入りし、被災の現地調査や住民や首長との懇談を重ねてきました。国会論戦でも追及してきました。

連休明けの11日には、田村衆院議員らが寺西町長、澁谷村長と懇談し、バスでなく鉄道の復旧で「一歩も引かない」熱い思いを交流しました。

澁谷村長は「一般道より30、40メートル上を走る鉄道の車窓からの景観が売り物です。めがね橋が三つあり、棚田と古民家。いわば、日田彦山線からみえる風景は村の貴重な風景であり、日本の原風景です。JRがなくなると国が認定した『地方創生総合戦略』がなりたたない。災害を契機にした赤字路線の切り捨ての前例になりかねない。許してはいけない。九州全体、日本全体の鉄道ネットワークにかかわる大きな問題です。住民の代表としてがんばらないといけない」

添田町の寺西町長は、次のように話します。

「政府が『地方創生』を本当にすすめるなら、被災でその前提が崩れ、町が努力しても努力しえないものについて、国はしっかり支援するのが筋です」

 
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