2017年8月1日2017年8月10日
福岡民報2017年8月号
全国初 放課後児童クラブ(学童保育)の
低所得世帯への助成が福岡県で実現!
日本共産党福岡県議会議員 高瀬 菜穂子
利用料が高すぎる放課後児童クラブ
放課後児童クラブ(学童保育)は、子どもたちの放課後を安全に健全に過ごす居場所として、大きな役割を果たしています。もともと働く父母が子どもたちのためにと手作りで各地に作られてきたものですが、その運動の中で法制化され、「子ども子育て支援新制度」によって一定の水準確保のための予算措置も行われました。それでも、支援員の低賃金や、保護者にとって高い利用料など改善すべき問題は山積しています。
とりわけ、子どもの貧困が叫ばれる中、クラブに通いたい子どもたちが経済的理由によって通えない実態は、大変深刻で胸の痛む問題です。放課後、校庭でいっしょに遊んでいた子どもたちが、クラブのおやつの時間になると、取り残されポツンとしているということも聞いています。ひとり親や低所得層に対する助成制度が必要との問題意識を持ち、議会論戦を行ってきました。本年度、予算措置がされ全国で初めて、放課後児童クラブの低所得層への利用料減免制度ができたことは大変うれしい成果でした。
放課後児童クラブの利用料減免制度とは?
この制度は、生活保護世帯、住民税非課税世帯についてそれぞれ、市町村が減免を行った場合、5千円、2千5百円を限度に、県がその半額を補助するというものです。すでに、ひとり親世帯や生活保護世帯に対する補助を行っている自治体もありますが、県が制度をつくったことで新たに減免制度を創設する自治体もあります。今まだ、申請受付中であり、自治体が4月にさかのぼって制度を適用するのであれば、県も4月にさかのぼって補助をするとしています。本年度予算額は約8千万円です。
現在、制度を持っている自治体は表のとおりです。
放課後児童クラブの充実を求める議会論戦
2016年1月の厚生労働環境委員会で、私は放課後児童クラブの研修問題を取り上げ、県の責任である研修の充実を求めました。このときの当局とのやり取りの中で、低所得で利用料が払えない世帯について、県としても強い問題意識をもっていることがわかりました。
その後、2016年6月議会の一般質問で、山口律子議員が、放課後児童クラブの充実について取り上げ、支援員の待遇改善と利用料減免制度の創設を求めました。これに対する県の答弁は、「設置主体である市町村において、生活保護受給世帯やひとり親世帯などに対しましてその減免を行っている。五十九市町村のうち36の市町が生活困窮者に対する減免制度というものを設けており、県として、減免制度を設けていない市町村に対し、県内の他の市町村の事例というのも紹介しながら、それぞれの地域の実情に応じた減免制度の整備について助言を進める」というものでした。市町村まかせの答弁でしたが、減免制度の必要性については認識していました。
2016年9月議会では私が、沖縄視察を踏まえ、県が予算措置を行い子どもの貧困対策を進めるべきであると強調しました。沖縄で行われている貧困対策では、県が6年間で30億円の予算を組み、市町村が就学援助制度の充実(基準の引き上げ、対象の拡大、予算拡充)などを行った際に、県がその半額を補助するとし、一気に施策が充実していました。9月議会では、福岡県独自の貧困調査、就学援助への補助、給付制奨学金制度の創設を特に要求し、県が制度をつくりリードすることの重要性を訴えました。
今回県がつくった「放課後児童クラブの利用料減免制度」は、規模は小さいものですが、県が制度を作り貧困対策に資するというもので、こうした施策のさらなる充実を求めていきたいと思います。
沖縄県の先進的取り組みに学ぶ
――県の姿勢で全県が大きく変化
昨年夏に行った沖縄視察は、大変有意義なものでした。沖縄では基地問題のたたかいを行いながら、知事を先頭に「子どもの貧困対策」を大胆に進めていました。専門家の協力を得ての独自の調査で、「3割が貧困」という衝撃の数字が出たことで、県民共通の問題となり、就学援助の周知と充実に取り組み始めました。生活保護基準の1倍だった自治体が1・5倍まで引き上げたり、子どもの眼鏡を助成の対象にしたり、また、子どもの居場所づくりに対する助成や市町村がそのために職員を雇った際の費用、ひとり親家庭の伴走型支援にも予算をつけて推進しています。
さらに、県民会議を立ち上げ、経済界、マスコミの協力も得て、給付型奨学金などの充実のために、2億円の基金設立をめざし、わずか1カ月で1600万円集まったと聞きました。県の姿勢が変われば、福祉施策は大きく前進します。沖縄に学んで、本県でも貧困対策の充実を進めていきたいです。